5384.2022年2月7日(月) ミヤンマー国軍関係者を防衛省が教育訓練

 クーデター発生以来1年が経過したミヤンマーの現状について、今月になってその後の状況がメディアで報道されているが、ひところの熱っぽさない。国軍の暴力的な弾圧によって民主派勢力が表面的には街から消えてしまったような印象を与えている。ミヤンマー政府の国家顧問だったアウンサンスーチー氏をどことも分からず幽閉して、その存在すら明らかになっていない。軍へ抵抗を示せば、直ちに身柄拘束され拷問される。

 国民から嫌われ、国際社会から経済的制裁を受け国家財政は厳しくなっているが、国軍には国軍系複合企業体が130社以上もあると言われ、国民は貧しくとも国軍はそれほど窮することはないようになっている。しかし、国民は密かに労働しない、働かないストを実行して家の中に閉じこもり、街に人出が見られなくなっている。国家経済的にも国軍系企業から吸い上げる資金でこれまで弱音を漏らさなかったが、その収入源に人権団体を通じて制裁が科せられている。海外でもアメリカは人権侵害をしている個人や団体に制裁を課すグニッキー法をミヤンマーに発動した。EUやイギリス、オーストラリアは同じような法律を適用し制裁をしている。ところが、日本にはそのような法律がなく、むしろ政府開発援助(ODA)により資金供給を行ってきたような経緯がある

 そこへ今日朝日新聞朝刊に「ミヤンマー国軍幹部に防衛省が教育訓練」との衝撃的な記事が目に入った。かねてより防衛省はミヤンマーの幹部や幹部候補生を留学生として受け入れて教育訓練を行ってきたが、これをクーデター後にも行っているというから世界の常識から考えても首を傾げるばかりである。

 親日国ミヤンマーと日本との間には、以前から他国とは異なる特別の友好関係にある。軍人の教育訓練は、戦前から行われ、アウンサンスーチー氏の父親で「ビルマ独立の父」アウンサン将軍や、ネ・ウィン元大統領も戦前日本の航空士官学校で訓練を受けた。そんな両国の歴史と経緯もあり、ある程度の両国の提携や協定は理解出来る。だが、今世界は武力クーデターを実行したミヤンマー国軍に対して厳しい態度で接している。このデリケートな時期にミヤンマー軍関係者を受け入れ、防衛研究所や幹部学校、防衛大学校で教育しているとは、どうも理解出来ない。更に実質訓練の他に授業料を免除する他に毎月給付金を与えているのである。

 理解に苦しむのは、クーデター発生時に多くの市民が殺害されたことに対して、日本政府は「強く非難する」とミヤンマー国軍に対して談話を出した。また、翌3月には、自衛隊トップの統合幕僚長が、11カ国の軍トップとともに「暴力行為を非難する」の共同声明を発しているほど、国軍を厳しく非難していた。それが、表向きの言葉と裏の行動がまるで反対なのである。実際クーデター後にもミヤンマー国軍関係者を受け入れているのである。

 言行不一致、矛盾はどうして生まれるのだろうか。これが防衛省、否自民党の本音なのだろうか。

2022年2月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com