5382.2022年2月5日(土) 面白くない新聞とロシアの五輪パフォーマンス

 1月3日の本ブログに「正月は新聞が面白くない」と書いた。今年はこれと言って取り上げるような興味深いニュースがなかったせいもあるが、直近のニュースについて新聞社としての考え方や説得力のある論評が見られないせいである。そう思っていたところ、最近送ってもらった「メディア展望」(2022.2.1発行)にジャーナリスト小池新氏が「新聞はいま何を伝えるべきなのか『正月紙面が面白くない理由』」と書いて私の疑問と同じような不満を表している。小池氏は、1月に大阪で起きたクリニック放火殺人事件を例に取り上げ次のように述べている。「多くの人は被害者の悲劇性のみに関心を寄せ、加害者がそこに至った経緯や背景を考慮に入れないが、メディアがそれに同調してしまうのはおかしい。事件から何らかの教訓を読み取って社会に還元することこそ今伝えるべきことだ」と主張している。

 また、17日付東京新聞に作家津村記久子氏が、「被害者にも加害者にもなり得る事件で、そういうありふれた苦しみを感じている人に落伍の烙印を押して排除することは、社会機能の欠如」と指摘していることに対して、こういう記事を記者が書かなければだめだと結論づけている。つまり一般人が感じることとメディアが伝えることがまったく同じということに疑問を感じているのだ。メディアには、一般人が知らずに、それでいてなるほどと思えるような記事を書かなければいけないと言っているように思った。

 さて、昨晩は北京オリンピック開会式を延々2時間20分に亘ってテレビ観戦してしまった。開会式の中で2つの疑問を感じた。ひとつは、各国選手団の入場の順番がアルファベット順ではなく、何を基準にされたのか分からなかったことだ。日本は10番目に行進したが、テレビ・アナの説明はなかった。調べてみたところ国名を中国語で書き、最初の文字の字画数が少ない順だと分った。2つ目の疑問は、ロシアが組織的なドーピング問題で今年12月まで国際大会から締め出されているにも拘わらず、選手団が堂々と入場行進した光景を観て、アレっと思った。ロシア代表ではなく、ロシア・オリンピック委員会から派遣された選手ということのようで、ロシア国旗と国歌は使用しないことになっているが、どうもユニフォーム・ジャンパーは国旗に倣って青、白、赤の三色からなっていた。不審に思ったのは、実況アナがここでもロシア・オリンピック委員会の選手団であると紹介しなかったことである。杜撰なことに今大会の公式ホームページには、「ロシア」が出場国のひとつとして紹介されていたということで、この点についてNHKは大会組織委員会に照会したが、どういうわけか回答はなかったという。また、プーチン大統領は金メダルを獲得したロシア・オリンピック代表団選手に約600万円の報奨金を与えるそうで、これなら金メダル獲得は国家のための名誉というより、個人的な賞金稼ぎとも考えられ、オリンピックの高邁な精神なんか吹き飛んでしまうのではないか。それにしてもロシアらしい、否プーチンらしい露骨なやり方である。

2022年2月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com