5340.2021年12月25日(土) 来年度予算案、閣議決定

 過去最大の2022年度国家予算案が閣議決定された。来年1月の通常国会で正式に決定されるが、近年拡大気味の国家予算は止めどもない勢いで膨張している。一般会計の歳出は、何と107兆5964億円と10年連続で過去最大の総額となった。このままの財政政策が続けば、いずれ破綻することは間違いない。政治家は呑気で無責任過ぎる。どうして黒字財政を目指す財政健全化のための検討、施策が行われないのだろうか。大学生だった1959年度の国家予算は、ほんの1兆4千億円だった。隔世の感がする。

 予算案の内訳でとりわけ目だったのは、以下3点でいずれも過去最大だった。1)社会保障費(36兆2735億円)、2)防衛費(5兆3687億円)、3)国債費(24兆3393億円)で、この3つの歳出だけで全体の2/3弱を占める。

 このバラマキとも言える傾向に、「文藝春秋」本年11月号に財務省のトップ矢野康治財務次官が「財務次官、モノ申す」と題して、近年の日本の財政政策のバラマキについて「このままでは国家財政は破綻する」と強く警告を鳴らし、特に政界であっと言わせた。これまで官僚が所属の官庁の政策について苦言を呈するのは、極めて稀である。痛い所を突かれた政治家は、腹立たしいとは思っただろうが、次官の言う通りでもあり、反論のしようもない。矢野次官は、「私たち国家公務員は、国民の税金から給料をいただいて仕事をしています。決定権は、国民から選ばれた国民の代表者たる国会議員が持っています。決定権のない公務員は、何をすべきかと言えば、公平無私に客観的に事実関係を政治家に説明し、判断を仰ぎ、適正に執行すること」と述べている。

 問題は大局的に見て次官の言う通り、いずれ国家財政が破綻する恐れがあるということが大問題なのである。コロナ対策を前面に出して予算案に加えて、予備費でもコロナ資金を支出させ、バラマキを煽っている空気を感じる。過去最大支出額がコロナ禍の蔭に埋もれているように思えて仕方がない。政治家には、財政赤字が実感として分かっていないようだ。歳出を賄う歳入が伴わなければ、国家財政が破綻するのは当たり前である。新年度は取らぬ狸の皮算用に終わらなければ良いが、一応税収の見通しを過去最大と見込んでいる。これと連動して国債発行額が減るのは結構であるが、基本的には税収を増やし、歳出額を減らすのが健全な財政政策である。

 過去最大の歳出とされ、歳出総額の約1/3に当たる社会保障費の増大は、社会福祉国家建設を目指し、高齢者や小さな子どもたちなどの弱い人たちへの支援を考えるとある程度止むを得ないが、全国民目線から納得出来ないのは、年々増額される防衛費であろう。

 自然災害発生の際に派遣される自衛隊員の協力には、素直に感謝の気持ちが湧いてくる。しかし、これはあくまで本業ではない。国の防衛のための「軍隊」として今では、陸海空を合わせて22万7千人を数える大世帯となった。しかも、自衛隊の存在は、憲法第9条に明らかに違反している。武器を持たないと約束した現行憲法下で、軍事力増強のために防衛費を年々増額することが許されるのだろうか。

2021年12月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com