5339.2021年12月24日(金) 国際情報を正しく理解するための中立性

 今日はクリスマス・イヴであるが、華やかな雰囲気とは裏腹に新型コロナウィルスの新変種株オミクロンが、日本国内にも少しずつ感染者が見つかっている。1か月前にはコロナ感染者数も徐々に減少し、いずれ終息するだろうと見られていたが、オミクロンが急速に世界各国に広がっている。イギリスは1日10万人単位で発症しているし、フランス、イタリアもそれに近い。アメリカでも相変わらず世界一の感染者数と死者を出している。

 オミクロン株が世界106カ国で確認されるようになったが、日本でも一昨日160人になった。東京都内でも今日4人の感染者が確認された。テレビ・ニュースやエンタメ番組でもコロナ、特にオミクロンに関してかなりの時間を費やしている。

 さて、ウクライナ情勢が北大西洋条約機構(NATO)とロシアの緊張した対立の狭間にあって今世界で注目を集めている。ロシア軍がウクライナ国境周辺に進出したことに対して、アメリカとNATOが撤退を求めて緊張が高まった。しかし、ロシアに言わせれば、ウクライナがNATOに加盟することは、ロシアにとって安全保障上見逃がせないとして緊張緩和のためNATOの拡大停止を求めている。ここで我々は、どうしてもロシアに対して日頃あまり好感を抱いていないせいもあり、先ずロシア軍のウクライナ国境周辺の進出が問題と考えがちだが、そこには一般には分かり難いウクライナならではの特殊な事情が潜んでいる。

 この辺りの事情については、先日セルビアの山崎洋さんが送ってくれたメールに記されていた。西側の報道はプーチン悪玉説で色塗られているという。つまり彼の見方は、ウクライナが旧ソ連から独立して以来、ウクライナ国内でロシア系住民の人権が著しく損なわれたり、ロシア正教に代わってウクライナ正教会を独立した教会にして、ロシアにとっては反ロシア政策に思える面が目立つという。また、クリミヤについては、元々ロシア領だったが、住民の意思に拘らず、ウクライナ出身のフルシチョフ首相の一存でウクライナに帰属させた経緯がある。ソ連崩壊時の大統領だったエリツィンは、ソ連解体を急ぐため現状維持を認めたが、その代償としてウクライナとロシア海軍基地の利用を認める条約を締結した。だが、条約期限が切れる前にウクライナは海軍基地をNATOに引き渡すことを検討しているとされ、これにより黒海を失い南からの攻撃に対する防衛に不安を覚えたロシアが住民投票を行い、ロシア帰属派が圧倒的に勝った。こういう現実問題と背景が、西側ではあまり伝えられていないと彼は言う。確かに日本でもこのような背景はほとんど伝えられず、ロシアの強引さばかりが強調されている節がある。

 これはウクライナ情勢に関するほんの一部の情報であるが、確かに我々の先入観とは大きく異なる。良し悪しはあるが、やはり情報はバランス感覚が必要で、中立の立場に立つことが望ましいと思う。その意味でも、山崎さんが送ってくれた情報は、待てよ!なるほどと踏み止まらせてくれる貴重な情報である。有難いことだと思っている。

2021年12月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com