5335.2021年12月20日(月) 非常階段設置を義務化出来ないのか。

 一昨日起きた大阪市内の雑居ビル火災で24名が亡くなり、犯人と思しき容疑者は重態らしい。火災原因はこの容疑者が、4階の医院の入口でガソリンを入れた容器を倒してライターで点火したことにあるらしい。30分程度で火は消えたが、その僅かな時間内に医師と多くの患者らが一酸化炭素中毒の犠牲になった。テレビでビル内部を図解で解説してくれるので分かり易いが、どうして犠牲者は非常階段から逃げられなかったのか、疑問だった。非常階段と言えばビルの外部に鉄骨製の簡易な階段があるとばかり思っていたが、この6階建てのビルにはそれがなかったのだ。建築基準法施行令第122条では、5階以上のビルには避難階段が義務づけられている。それにも拘わらずこのビルには避難階段がなかった。

 はっきり言おう。このようなビルで火災が発生すれば、避難出来ないではないか。それでも広義の法律上問題がなかったというのだろうか。

 30年ほど前にアメリカのシアトル市内のホテルに宿泊していた時火災が発生し、ホテル内の拡声器ですぐに貴重品を持ってホテルの外へ退避するよう館内アナウンスがあった。慌てて身支度を整え、一緒に宿泊していたお客様を叩き起こして非常階段を伝わって外へ逃れたことがあった。その時の印象は、狭い階段に人が詰まって思うように前へ進めないことだった。途中の階から入り込む宿泊者もいて中々下へ降りられない。それでもこの非常階段があったおかげでホテルから脱出することが出来た。いかに非常階段が緊急の際には役に立つものかは、実感として身に染みた。

 建築基準法ももう少し安全や、避難を考えて内容を検討し整備するべきではないかと思う。さもないと同じような事故が、近い将来にまた発生すると思う。

 さて、セルビアに住む学生時代の友人山崎洋さんから年末・年始の挨拶を兼ねて、日本のメディアの報道姿勢について疑問を書いてメールで送ってくれた。

 彼がとりわけ気にしているのは、NHKをはじめ多くのメディアがアメリカ・サイドに立ち、ロシア、中国の姿勢をすべて頭から否定しているということである。確かに私自身もその内のひとりであるかも知れない。例えば最近話題になっているウクライナ情勢について、すべてアメリカ政府の言い分を丸のみしているという。

 「ウクライナ独立後、ロシア系住民の人権が著しく侵害されたこと、例えばロシア語は公用語の一つでなくなり、ロシア正教会に代わってウクライナ正教会を独立教会にし、ロシア人の多いドンバス地方のインフラ投資を削って経済的後進地域にして人口減少を図るなど。この最後の点は、知り合いのドンバス出身のウクライナ人も不満で、中央政府に反対し、自治政府の強化を支持すると言っていました。ウクライナ和平ミンスク協定も、中央政府はいっさい実施していない。クロアチアの例にならい、実力行使による解決を目指しているので、そのためにNATOの介入を求めているのです。ロシアは何十万人の難民を受け入れることになるでしょう。すべてはバルカンでセルビア悪玉論を作り出し、それを利用して民族浄化を実行した先例があり、十分な力を回復したロシアが黙視するはずがない。クリミヤ問題も然り。もともとロシア領だったのを、ウクライナ人フルシチョフが勅令でウクライナ領とした。住民の意志など問題外です。イェリツィンはソ連解体を急ぐため、現状維持を認めたが、その代償としてロシア海軍基地の利用を認める条約をウクライナと結びました。期限切れを前に、ウクライナはこの基地をNATOに引き渡すことを検討。ロシアは黒海を失い、南部からの攻撃に対する防衛が困難になる。そこで住民投票を実施しました。結果は、圧倒的多数で、ロシア帰属派が勝つ。住民の多数がロシア系だが、海軍基地に経済的に依存していることが大きいのです。沖縄で基地反対派が圧倒的多数にならないのと同じ論理ですね」と言っている。

 問題は複雑で、どちらが正しい言い分と即決出来ることではないが、日本のメディアの論調は、すべてアメリカナイズされていることは彼の言う通りかも知れない。そうなったのもメディアが焦点の現場であるウクライナの土地を踏んでいないからである。臨場感が欠けては説得力を失う。私には、ひとつの哲学でもある。

2021年12月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com