5331.2021年12月16日(木) 官僚はどうして世間の常識に疎いのか。

 この2日間に国の行政において不信感を掻き立てる事象が2件も明らかになった。

 ひとつは、国土交通省が建設業の受注実績を表す国の重要な統計資料を国交省が書き換えていた件である。悪質なのは、建設業者から都道府県に提出された資料を、国交省が自治体の担当者に指示して書き換えさせていたことである。悪の上塗りは、会計検査院が昨年1月に気づき、国交省は都道府県に書き換えを止めるよう指示した。だが、書き換えは今年3月まで続けられていたという。会計検査院もこれでは存在する意味がない。国交省の言い分が奮っている。突然大きく減らすと数字に大きな影響が出るから、書き換えたそうである。国交省の役人は一体何を考えているのか。この統計資料は日本の国内総生産(GDP)の推計にも使われるというから、こんな感覚で国の行政に携わること自体理解出来ない。

 この件について昨日国会の衆議院予算委員会で、岸田首相は書き換えを認める一方で、事態が改善していることを強調したが、その重大さをどの程度認識しているのだろうか。不安は残る。

 もうひとつ不信感を抱かせられたのは、森友学園への国有地売却をめぐり財務省の公文書改ざん問題で、国を訴えていた原告側の請求を国が受け入れ、あれっという間に幕引きとしてしまったことである。これは文書の改ざんを強いられた財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫氏が自死して、妻が国に損害賠償を請求した裁判である。これまで妻は夫が自死するに至った原因と経緯について、国に情報公開を求めていたが、国は要求に応えていなかった。そのために妻は裁判によって要求に応えてくれることを求めたのだが、昨日国は夫人の請求を受け入れ終結としてしまった。国はこの問題から中途半端に降りてしまったのだ。金で解決すれば良いとでも思ったのか、夫人にとっては、金だけの問題ではなく、必ずしも真相が解明されたわけではなく、納得の行かない形で国の目論む終焉になった。我々国民にとっても、国が夫人に支払う請求額の原資は、国民の税金である点を踏まえて夫人が不承不承納得するという状況にはならないことを求めたい。

 さて。午後日本橋三越前のコレド室町3ビル内展示場で、友人・近藤總さんの個展を鑑賞に出かけた。題して「私の『ギュスターヴ・モロー』展」である。ギュスターヴ・モローを敬愛している友人は、武蔵野美大で商業デザインを学び、早くから自らの作品を商業化してきた。新聞広告に関係する数々の賞を獲得し、日本版「プレイボーイ」誌表紙を飾ったことがあり、日本のみならずアメリカでも腕を振るっている。会場が空いていたせいもあり、すべての作品について彼から説明を受けた。普通の感覚ではとても考えられないようなデザインを見ると、一種の天才ではないかと思う。市川学園中学時代の同級生である友人の活躍ぶりは嬉しいことである。益々の活躍を祈っている。

 

2021年12月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com