5324.2021年12月9日(木) 同じような行動を行う独裁者国家

 暫くミヤンマーの動きが報道されないと思っていたところ、旧ラングーンのヤンゴン市内でスーチー国家顧問の肖像画を掲げたデモ隊に国軍の車両が意図的に突っ込み、死傷者を出したとのニュースが伝えられた。その翌日ミヤンマーの裁判所がアウンサンスーチー氏に禁固4年の判決を下した。この裁判自体が、法廷の場所も分からず、秘密裏に開かれ弁護士にもかん口令が敷かれている有様である。国軍は恩赦を与えて刑を2年にしたが、そんな姑息なことをやっても意味がない。スーチー氏への量刑は現時点で合わせて100年というから、茶番も好いところだ。民主的に選ばれたスーチー氏が率いる国民民主連盟による政権を暴力によって倒し、政権幹部をひっ捕え彼らを押さえつけておきながら、2023年8月までに総選挙を行うなどと言っても誰も信用しやしない。欧米各国は国軍によるクーデターを強く非難したが、今またこの判決を民主主義への侮辱と批判し、国連人権高等弁務官が恥ずべき裁判と厳しく非難している。初めて当時ビルマと呼ばれていたミヤンマーを訪れたのは1971年だったが、当時は軍人上がりのネ・ウイン大統領が支配していた。だが、ネ・ウィン大統領は、クーデターで権力者になったわけではなく、時とともに引退された。インヤ・レーク湖畔で休憩中に大統領の車列が通ったが、元日本人兵士に対して窓を開けて手を振ってくれた。それほど親しみを感じさせる人物だった。現在のミンアウンフライン国軍司令官とは、人間的に別格のようだ。

 こういう時にミヤンマーのミンアウンフライン国軍最高司令官と同じように独裁的権力を行使してきたカンボジアのフン・セン首相が、自らの権力行使をアピールするかの如く、来年1月ミヤンマー訪問を両国間で合意した。

 今来年2月開催予定の北京冬季オリンピックに、新たな問題が生じている。昨日アメリカが外交団を派遣しないと公表したのに続いて、オーストラリア、イギリス、カナダなどもアメリカに同調して外交団は派遣しないと述べた。その最大の原因は、中国が新疆ウイグル自治区で冒している人権蹂躙につき欧米は証拠を呈示して激しく抗議しているが、中国は事実ではないと突っぱねた挙句に、それは中国国内の内政問題であり、他からとやかく言われる筋合いではないと取り合おうとしない。中国政府の対応は、指摘された問題点に誠実に応えるということではなく、問題の入口で示された懸念に対して筋違いの回答を行うことである。どうやら独裁国家というのは、ミヤンマーにしろ、カンボジアにしろ、同じような行動を取るものだ。

 国連安保理事会でミヤンマーに対する制裁決議が行われようとしたが、中国とロシアが反対した。似た者同士と言ったら良いのか、どうも習近平、プーチン、フン・セン、ミンアウンフラインら国家を独裁的に支配する権力を奪った者は、行動規範においてどうやら同じ穴のムジナのようだ。

2021年12月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com