5297.2021年11月12日(金) 瀬戸内寂聴さん、極楽浄土の旅へ

 作家の瀬戸内寂聴さんが9日に亡くなられた享年99歳で、人生100年時代をほぼ実践された。文化勲章も授かった。昨日から今日にかけてメディアは、瀬戸内さんの死について、その人柄と作品を合わせかなり詳しく伝えている。改めて骨太なすごい人気作家だったなと思う。仏門入りするまでは、かなり破滅的な生活を送っていたようだったが、仏の道に入ってこの世の垢が拭い取れたのか、人間的にも円満になり多くの人びとから愛された。弱者に寄り沿う作家のイメージが浸透して、各地で開催される瀬戸内さんの法話会には大勢の受講者が集まった。

 まだ瀬戸内晴美と名乗っていたころに書かれた小説は、やや愛のもつれに飲み込まれたような内容が多かったが、それが近ごろの小説ではどうだったのだろうか。まだ読んでいないので、何とも言えない。テレビに出演した時の語り口もソフトで、司会者の気持ちを逸らさない思いやりが感じられた。それに何事も自らの経験に基づいて確信的に話すので、強い説得力があった。こういう個性的で特異な人がまた逝ってしまったのは、何とも惜しく寂しい気がする。

 新聞記事によると岡本かの子を描いた「かの子繚乱」のような、自我に目覚めた現代女性の生と性を見つめた長編小説を発表して、人気作家になったと紹介されている。偶々私が作品登場人物のひとりとして岡本太郎を描いているため、かの子の日常と性格を知るうえで参考になりそうので、「かの子繚乱」をぜひ読んでみたいと思っている。

 寂聴さんはこんなことも言っていたという。「88歳が人生で一番いいとき、あとは老いてぼろぼろよ」。弱者に優しいそうだが、それどころか弱者の中の弱者「後期高齢者」にも温かい言葉をかけてくれている。幸い私は人生の一番いい時のその米寿88歳までまだ5年もある。これから先が楽しみになってきた。
 さて、中国で共産党が創立されてから今年がちょうど100年目に当たり、7月に祝賀式典を行ったばかりである。追随して今月8日中国共産党は、党の重要方針を決める第19期中央委員会全体会議(6中全会)を開き、習近平・国家主席は席上他国による中国への抑圧は許さないと述べた。

 そして40年ぶりにこれまでの共産党の歴史を総括する「歴史決議」を採択して昨日閉会した。歴史決議では、1945年の「建国の父」毛沢東、1981年に改革開放政策を主導した鄧小平、に並ぶ歴史的指導者として、傲慢にも習近平自身が自らを指名したのだ。習近平は来年に控える5年に1度の共産党大会で、これまで首席在任2期の不文律を破って3期目に挑むと見られている。スターリン、毛沢東ら疑似社会主義国家の独裁者の例が示すように、この両国では、一旦権力を握ると権力志向と私利私欲によりそれを手放そうとしない。習近平も権力基盤を固めて習王国を構築しようとの下心が明らかになった。

2021年11月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com