5293.2021年11月8日(月) でかい図体の日大が機能不全に?

 日大の背任容疑スキャンダルが伝えられてから大分時間が経つ。元・現2人の理事が逮捕されて捜査が続けられ、凡その様子伝えられているが、一向に事態が動かない。ガバナンスが機能不全状態に陥って、収賄容疑が疑われている田中英寿理事長の関与と動向がよく分からない。元理事は理事長に多額の金額を手渡したことを捜査当局に告白しているが、理事長が収賄容疑を否定したまま事態は一歩も前へ進まない。

 学校法人としての日本大学は、16学部87学科、大学院19研究科の他に16の付属中高、4つの病院を有し、事業活動収入は昨年度2,044億円だった。そのマンモス学園・日大のトップを務めているのが、自身アマチュア相撲日本一になった相撲部出身の田中英寿理事長である。これまで13年間に亘ってマンモス組織の理事長職を務めてきた。3年前にはアメフト部が悪質タックル問題を引き起こして、一旦辞めた理事をその後再び理事に復帰させて、理事長の懐刀としている。この理事が恩義のある理事長の権威を笠に着て剛腕を発揮していたらしい。子会社「株式会社日本大学事業部」の取締役を務めつつ、理事長の威光を振りかざして株式会社を自家薬籠中のものとしていたようだ。権力を握った理事長には誰も逆らえず、理事長は自ら、或いは腹心の理事を操りながら日大内ではやりたい放題らしい。日大理事会は、ガバナンスが効かず、組織の体を成していないと言えよう。国や自治体から約219億円の補助を受けているうえに、教育事業収入は原則として非課税である。こういう実態を知ったなら、文科省が会計検査院でも使って決算書をチェックさせるべきではないかと思う。補助金はあくまで税金の投入である。

 表面には出ず、背後で操る田中理事長の陰湿な狡さは相当なものである。アメフト部事件の折、外部の第三者機関が、田中理事長にすべての面で不透明さがあるので、記者会見を開いて説明責任を果たすべきであると勧告したが、その際も会見は開かれなかった。今度も外部に対して会見はおろか、インタビューにすら応じない。それにしても日大理事会というのは、名前だけで仕事はまったくやっていないとしか思えない。どうして理事会を開いて、理事長が2千万円以上の資金を受け取ったとの証言があるので、その調査を行わないのか。理事長が受領していないとの発言はとても正当とは思えず、事態は前へ進んでいない。

 日大理事会は、石川淳がある書に書いたように「もしかすると、その疑惑は絶対に疑うべからざるものをすら疑ってしまうような非がこちら側にあるということになるのではないか」という懸念なのであろうか。理事長ひとりの非を追及することによって、結局理事会に非があるということになると恐れているのだろう。それにしても、度々金銭面での疑念を持たれている理事長をこのまま居座らせるようでは、日本大学は果たして教育機関、学校法人と言えるのだろうか。大学としても恥ずかしいことではないだろうか。

 学校法人日本大学もお粗末だが、それを監督する理事会も酷いものだ。そのうえ日大には、より悪質な理事長が構えていたものだ。

2021年11月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com