5289.2021年11月4日(木) 温室ガス規制についてもっと啓蒙を

 ローマで開かれたG20 サミットに続いて、先月31日からイギリスのグラスゴーで開催されているCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)の首脳級会議で、インドが2070年までの実質排出ガス・ゼロを宣言した。これで主要20カ国すべてが脱炭素を表明したことになる。また、30年までに森林破壊を止め、回復させるとする宣言に100カ国以上が署名した。森林は温室効果ガスの重要な吸収源で、この署名により世界の約85%の森林をカバーするという。アマゾンの森林が違法伐採され放火されたことが問題になっが、今後は世界中の森林を守ろうという動きが出て来るだろう

 岸田首相はサミットには国内の政治的事情でリモートによる参加だったが、COP26には0泊2日のとんぼ返りで出席し、日本の方針、立場を主張した。一応主要国の主張として、アメリカ、イギリス、EU、日本は2050年までに温室効果ガス排出を実績ゼロにすることを約束した。現時点では排出ガス1位の中国と4位のロシアは10年遅れて60年までに同じ目標達成としている。

 ただ、岸田首相は「日本は水素やアンモニアを燃料とした石炭火力を活用する」とスピーチし、これまで5年間に約6.8兆円支援してきたが、更に積み増す用意があるとの主張が、環境NGOの国際ネットワーク「気候行動ネットワーク」(CAN)に素直に受け止めてもられず、温暖化対策に後ろ向きの国として前回に続き連続して不名誉な「化石賞」を贈られることになった。

 岸田首相の演説の骨子を読み取ると、日本やや安易に考えている節があり、その点をCANが鋭く批判した。首相は、アジアを中心に再エネルギーを最大限導入しながら、クリーンエネルギーへの意向を推進すると語った。すでにある火力発電所は、燃料を石炭や天然ガスからアンモニアや水素に置き換えることで、発電時に温室効果ガスを出さない「ゼロエミッション化」によって活用することだと主張したのだ。ところがCANはその首相の演説について、排出量の多い火力発電所を推進しており、「アンモニアや水素を使ったゼロエミッションの火力発電を妄信している」と厳しく批判した。6月のG7で石炭火力発電について政府の輸出支援を年内にやめることですでに合意していたが、日本政府の理解がその合意と食い違っていたことにその原因があるように思える。この様子だとこれから相当な努力を傾けないと他の主要国との考えのずれを調整出来そうもない。急速に高まってきた温暖化排出ガスの削減は、よほどふんどしを締めてかからないと実現が難しいのではないかと心配になる

 それにしても国際的に広く注目されるようになった地球温暖化について、日本では先日の衆議院総選挙でほとんど論点とはならなかった。もっと政府が国民に問題を周知させ、その深刻さをアピールすべきではなかっただろうか。その点で、今朝NHKで高校生が温暖化ガスの排出規制について学びながら、街頭で立候補者に直接どう考えているかと尋ねていたのが、大変印象的だった。若者の間にすら、こういう地球温暖化を心配して行動を起こす高校生もいることに感銘を受けた。

2021年11月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com