5275.2021年10月21日(木) 日本の賃金は韓国より低く、世界22位

 今度の衆議院総選挙で各政党がまず訴えているのが、新型コロナウィルス対策である。だが、国家のすべての事象に関わる国会議員の公約としては、日本経済が停滞している現状から見て、もう少し経済対策に目を向けて欲しい。90年代バブルは崩壊したが、それまでの日本経済の発展は飛ぶ鳥を落とす勢いだった。経済は倍々ゲームで成長し、国民総所得も伸びる一方だった。しかし、バブル崩壊後の自民、民主両政権の経済路線は功を奏しなかった。その後の安倍政権によるアベノミクスも中途半端だった。

 この30年間に日本経済は低成長に喘ぎ、先進諸国に差をつけられた。それは、国際通貨基金(IMF)示す名目国内総生産(GDP)を見れば明らかである。1位アメリカ、2位中国、3位日本の順位は、問題ないように見えるが、およそ30年前の1990年と比べて最近30年間でGDPはアメリカが3.5倍、中国は37倍も伸びたのに比べて、日本は僅か1.5倍しか伸びていない。国民1人当りのGDPも日本はコロナ前の19年で主要7カ国(G7)中6番目である。特に問題なのは、働き手の賃金が上がっていないことである。経済開発協力機構(OECD)によると、2020年の日本人の平均賃金は、加盟国35カ国中22位で年424万円である。1位のアメリカは763万円で日本が30年間に18万円しか増えていないのに対して、339万円も増えている。その差は俗にいう「失われた30年間」で、日本はほぼ横ばいの4.4%しか増えなかったのに比べて、アメリカでは47.7%増、イギリスで44.2%増とその差はかなり大きい。15年には韓国にも追い抜かれ、今では38万円も差をつけられている。93年以降主要7カ国では最下位という体たらくである。日本生産性本部では、その原因を日本の生産性が低いことが原因と考えている。

 第2次安倍政権は、①大規模な金融緩和、②財政出動、そして③投資を促す成長戦略を「3本の矢」とするアベノミクスで現状打破を試みた。1万円程度だった日経平均株価も3万円まで回復し、企業業績も改善したが、海外に比べるとそれでも低成長から抜け出せなかった。低成長に加えて企業の賃上げも進まず、GDPの半分以上を占める個人消費も伸びなかった。アベノミクスは失敗だったとの声が聞かれる。

 こうした経済低迷について何らの反省もせず、公にはあまり論議されず、衆院選でも大きな論点として取り上げられることもない。ただ、頭の上を時が通り過ぎるのを待っているだけのようだが、このまま放置しておいて良い筈がない。次の内閣には、かつての日本経済が輝いていたころの光を取り戻すべく、反省すべきは反省して真剣に経済の復活に取り組んでもらいたい。

2021年10月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com