5220.2021年8月27日(金) 「SDGs」とは程遠いアフガンの混乱

 最近頻繁に目につく言葉として「人新生」と「SDGs」がある。前者について意味はもちろん、読み方も知らなかった。「じんしんせい」、または「ひとしんせい」と読むようだが、ネットの[Wikipedia]に依れば、「人類が地球の地質や生態系に与えた影響に注目して地質時代における現代を含む区分」というが、どうもストンと胸に落ちて来ない。しかし、あまり現実的な言葉ではないが、斎藤幸平・大阪市立大准教授著「人新生『資本論』」が、経済成長至上主義がもたらす未来、持続可能な社会へのヒントがあるとして同書がヒットしているというから一層分かり難い。

 もうひとつの「SDGs」は、‘Sustainable Development Goals’を訳した「持続可能な開発目標」の略語である。国連は2030年までに達成すべき世界を変えるためとして以下の17の目標を掲げた。

 1)貧困をなくそう 2)飢餓をゼロに 3)すべての人に健康と福祉を 4)質の高い教育をみんなに 5)ジェンダー平等を実現しよう 6)安全な水とトイレを世界中に 7)エネルギーをみんなにそしてクリーンに 8)働きがいも経済成長も 9)産業と技術革新の基盤をつくろう 10)人や国の不平等をなくそう 11)住み続けられるまちづくりを 12)つくる責任つかう責任 13)気候変動に具体的な対策を 14)海の豊かさを守ろう 15)陸の豊かさも守ろう 16)平和と公正をすべての人に 17)パートナーシップで目標を達成しよう

 である。

 これは言葉としては単純で分かりやすいが、中々成し遂げるのは難しい。それでも国連がこのようなテーマを定めたことに、意外な感じを持っている。国際紛争のただなかへ飛び込んで調停する外交調停と政治力が求められる国連で、このような身近な希望が取り上げられること自体が驚きである。これからこの後者の言葉は取り上げられる機会が多いだろうから、注目したいと思う。

 さて、アフガニスタンで昨日恐れていたことが起きた。首都カブール国際空港周辺でアメリカ軍兵士13名を含む、市民ら100人以上が犠牲になる爆破テロ事件が起きたのだ。これがタリバンの仕業かと思いきや、何とタリバンと対立するイスラム系過激派組織・イスラム国(IS)が犯行声明を出した。これでアフガン国内の治安は一層泥沼化するだろう。バイデン大統領は、アメリカはこの事件に拘わらず、関係者のアフガン国外脱出作業を続け、軍の撤退は予定通り今月末までに完了させると語った。このトバッチリを被ったかの感がある日本は、約500名の現地の日本人及び、日本外交のアフガニスタン人関係者の脱出と日本への輸送のために自衛隊輸送機を派遣していたが、今日カブールからパキスタンの首都イスラマバードへただひとり日本人が輸送されてきた。果たして国外脱出期限とされる今日中に他に何人を無事自衛隊機に乗せて日本へ連れ帰ることが出来るだろうか。

 自衛隊機のアフガンへの出入りはタリバンの了解を得ているが、同機は慌ただしくカブールとパキスタンの首都イスラマバード空港との間を往来している。その航路下の道路がアジア・ハイウエイ№1で21年前に私自身ジープで通った道路だ。昨日も国境カイバル峠周辺と思しき風景を映し出していたが、女性の姿がまったく見られず、武器の積み下ろしをやっていたパキスタン最西端の町・ランディ・コタールともども妙に懐かしい気分になったからおかしなものである。

 それにしても大混乱のすべての原因は、20年間に亘るアメリカ軍駐留による統治と撤退処理の拙さの結果である。アメリカは同盟国に迷惑をかけて、世界中を不安に陥れるような随分罪作りのことをよくぞやってくれるものだ。

2021年8月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com