5215.2021年8月22日(日) コロナ禍の横浜市長に医師山中竹春氏

 横浜市長選挙の投開票日である。飛鳥田一雄市長時代、横浜市に10年間生活していた元横浜市民として、また次男家族が市内に居住していることもあり、少なからず横浜市の動静に関心がある。前回は大した問題もなく、現職の林文子市長が無難に3選された。ところが、今回の市長選は、立候補者が乱立した。まず過去最多の8人もの候補者が挑んだうえに、それぞれ知名度の高い県知事経験者、松沢成文・元神奈川県知事と田中康夫・元長野県知事が立ったことが異例である。大きな論点が2つもあり、そこへ自民党内部の分裂・対立もあり波瀾含みだった。大きな論点は、IR統合型リゾート受け入れ賛否と新型コロナウィルス防止対策である。

 とりわけ前者について、カジノを含む複合的施設を横浜市が開設して国際観光促進に力を注ぎつつ、税収を期待したが、賭博場を公営で運営することが、倫理上、風紀上、かつ教育上好ましくないとする市民の強い反対で結論が先送りされていた。林市長は早くからIR導入に積極的で、市民の強い反発を招いていた。自民党が立案したカジノ解禁を柱としたIR推進法は2018年に成立している。しかし、カジノ場誘致の市民の拒絶反応が強く、最近になって現職の公安委員長・衆議院議員の職を投げ打って小此木八郎氏が、カジノ反対を掲げて市長選へ名乗り出たことによって、1歩選挙戦を有利に戦いつつあった林市長は厳しい立場に追い込まれた。小此木氏は自民党のIR統合型リゾート導入に反旗を掲げる立候補であり、自民党内を混乱させ、剰え地元選出の菅首相が苦悩の末に林市長ではなく、小此木氏を支援する反逆的行動を支援した。林市長が不実な行為と批判するのも分る。

 そこへカジノ反対派では医学専門家でコロナに精通し、それをアピールしている山中竹春・横浜市立大学医学部教授が、野党の支援を受けコロナ防止対策を打ち出して立候補した。実に、候補者8人のうち、6人がカジノ反対派である。しかし、今回はIRに的が絞られたために、他の知名度の高い候補者も当落線上からは、次第に消えていった。

 この論戦が関心を呼んだのか、投票率は前回を12%も上回り即日開票の結果、予想していなかった8人の中で最も若い48歳の山中教授の当確が早々に決まった。当落の決め手となったのは、選挙戦に突入してからコロナの感染が拡大したことから、防止対策に対する関心が高まり、コロナの専門家である山中氏が優位に立ったようだ。ただ、山中氏にはパワハラの噂が出回っており、幸い週刊誌などで糾弾されることはなかったが、市長就任後にこの問題にどう応えるかが問われる。もうひとつは、自民票が林市長と小此木氏に割れたことが、2人にとって厳しかったようだ。特に大臣の職を捨ててまでした小此木氏の敗北は、横浜市を選挙地盤とする菅首相にとっても厳しい試練になり、これからの政権運営にとっても容易ならぬ事態になりかねないように思える。

2021年8月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com