5203.2021年8月10日(火) 夏の甲子園・高校野球始まる。

 夏の風物詩でもある高校野球が今日から阪神甲子園で始まった。夏の甲子園と言えば、懐かしい思い出がいくらもある。昨年は新型コロナウィルスで中止となり、2年ぶりに49校が参加した開会式が例年とは異なるスタイルで行われた。

 母校・神奈川県立湘南高校は、1949年全国高校野球大会に初めて出場して、初出場初優勝の栄冠に輝いた。当時の出場校の中には今日とは異なり、私立校に比べて公立校の方が遥かに多かった。因みに母校は決勝戦まで4校と戦ったが、すべて相手校は公立校だった。それが、今年は甲子園出場校の内8割が私立校となった。商・工・農業高校を覗くと普通校は僅か4校しかない。しかも、優勝回数が多く、連続出場の多い高校が増えた。甲子園に出られる高校は、一部の高校に限られるようになったようだ。甲子園常連校、いわゆる「野球学校」が目立つようになった。強豪野球部を創り上げることが、生徒を広く集める学校経営の柱のひとつにもなったようだ。時代の流れでもあろうが、プロ野球化の影響も見えるようになった。その反動だろうか、文武両道の高校は今ではむしろ珍しくなった。

 そんな傾向にやんわりと警鐘を鳴らすかのように、今日開会式の後の始球式で珍しいプランがあった。甲子園近くの甲陽学院高校で昨年3年生として甲子園を目指しながらも予選が行われず卒業し、初志貫徹で文武両道の「武」ではなく「文」を見事に成し遂げ、現役で大学医学部に合格した2人の元高校野球部員が始球式でバッテリーを組んだ。今や甲子園に出て野球で名を上げたいばかりに、地元の高校より他府県の強豪校で活躍したいと遠隔地へ転校する高校生も見られるような時代である。

 他にアレっと思ったのは、第1試合の後半を観ていて面白いことに気づいた。米子東高を破った日大山形高校の校歌演奏で、歌い出しの箇所に♪Boys, be ambitious.♪を2度も繰り返したのである。北大からイチャモンがつくことはないと思うが、言わずと知れた北大で語ったクラーク博士の言葉ではないか。

 中学校3年生だった1953年夏には、兵庫県芦屋市内の父の知り合いのお宅でお世話になりながら、開会式から3日間ひとりで甲子園へ通い詰めてその間の全試合を観戦したことがある。今でも覚えているのは、前年優勝した優勝旗を返還した芦屋高・本屋敷錦吾主将(元立教大、阪急、阪神)、東筑高の仰木彬投手(元西鉄、近鉄、オリックス)、中下投手(浪商)・中山投手(中京商)・空谷投手(松山商)の投手3羽カラスらをじっくり間近に見たことである。その後息子たちが小・中学生になってから泊りがけで甲子園に出かけたことが何度もある。

 近年プロ野球にあまり興味が湧かなくなったのは、高校野球にそれほど魅力と関心を抱かなくなった影響もあるのではないかと思っている。表面的にはともかく、高校生らしい純朴さが年々失われていくような気がしている。それは高校生球児の所作より、周囲の大人たちが自分たちの大舞台を作り上げようとすることに原因があるような気がしている。たかが高校生の全国大会に国を挙げて大騒ぎしてまでビッグ・イベント化する必要性はないと思う。あまりちやほやさせずに、地味な高校野球大会であって欲しいものだと思う。

 今日も暑かった。東京都心部は36.8℃で初めての猛暑日となり、八王子市にいたっては38℃だったというから、つい昔を想い勤めに出かけるサラリーマンに大変だなぁと思わず同情してしまう。

2021年8月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com