5199.2021年8月6日(金) 「原爆の日」菅首相のお粗末なスピーチ

 今日は76年前に広島市内に世界で初めて原爆が投下された「原爆の日」である。国民学校初等科1年生だったが、当時の記憶はまったくない。昨年は新型コロナウィルスの感染拡大により中止となったが、今年は広島で平和記念式典が行われた。原爆が投下された8時15分に黙祷が行われた後、松井広島市長の平和宣言に続いて菅首相の挨拶が行われた。

 ところが、この首相挨拶で、菅首相は言葉を間違えたうえに重要な箇所を読み飛ばしたとされ、物議を醸している。ある被爆者団体事務局長は、首相は不勉強、かつ不誠実で、首相としての基本的な姿勢が表れたと批判している。間違えたのは、「広島」を「ひろまし」と読み、「原爆」を「げんぱつ」と読み上げたことである。ちょっと考えられない間違いである。また、読み飛ばしたのは、「広島、長崎が繰り返されてはならない。この決意を胸に、日本は非核3原則を堅持しつつ、核兵器のない核軍縮の進め方を巡っては、各国の立場に隔たりがあります。このような状況の下で核軍縮を進めていくためには、様々な場の国々の間を橋渡ししながら、現実的な取り組みを粘り強く進めていく必要があります」の部分のようだ。

 その後の記者会見で首相は、この点について陳謝したが、被爆国の首相の発言として世界へ発信されるスピーチだけに総理大臣としての資質に疑問を感じるようなお粗末との誹りは免れない。首相は、昨年10月の国会での所信表明演説と今年1月の施政方針演説でも言い間違いを冒しているが、スピーチ原稿を読むだけなら、そんなに間違えることもないと思う。よほど他に心配ごとが頭から去らないのではないだろうか。

 しかし、単なるミスによるものか、どうかは何とも言えない。挨拶で今年1月に核兵器禁止条約が発効したにも拘わらず、被爆国として最も発信力がある日本が、同条約を批准しないことに国内外で批判がある点を考え、またアメリカの核の傘の下にいる現状を配慮して「君子危うきに近寄らず」戦法を選択したのではないかと臆測出来る。アメリカでは、日本への原爆投下は正しい判断だったとの世論が過半数を占めている。そのアメリカへの配慮もあるのだろう。それは、オリンピックの今日いずこの競技会場でも黙祷を捧げなかったことでも分かる。76年が経とうが、日本政府の原爆を投下したアメリカへの「忖度」は、消滅しない。果たして日本はいつまでアメリカへの気遣いが続けられるのだろうか。

 今日も暑い。全国の気象観測地点920か所のうち、真夏日を記録したのは823か所だったという。東京が暑い時期という理由から、開催地を北の札幌に移転して昨日行われたオリンピック陸上競技種目20㎞競歩に続いて、今日50㎞競歩が行われた。午前5時30分にスタートしたが、11時ごろのゴール地点では31℃にまで気温が上昇し、スタートした59選手中10名が途中棄権した。今日行われた女子サッカー決勝戦も午前11時キックオフの予定だったが、対戦するカナダとスウェーデンから猛暑を回避したいと要望が出され夜9時に延期された。真夏の昼間に炎天下で行うスポーツが如何に過酷であるかは組織委員会では分かっていた筈である。テニスでも時間を繰り下げられたが、こう度々の変更は、今後IOCとしても考えるべきではないかと思う。

2021年8月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com