5171.2021年7月9日(金) オリンピックを指図するメディア

 いつものことながら、またメディアの無責任と思い上がりを知らされた。昨夜5者協議の結果、東京オリンピックの競技会場は東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県では無観客ということに決まった。昨日の本ブログにも書いたことだが、昨晩のテレビ朝日「報道ステーション」が終了間際になって急遽コメンテーターが「1都3県ではなく、東京だけが無観客」と追加訂正したままで、3県も東京同様無観客であるとは言わなかった。このように杜撰だからメディア報道の信憑性にはいつも?が付いて回るのである。

 無観客のニュースは直ちに全世界へ伝えられ、来年2月に北京冬季オリンピックを控えている中国では関心が高く、SNSでは開催すべきではない、とかオリンピック精神を失った大会だとあまり好意的とは受け取れない感触だった。中でもアメリカのメディアは、自国が世界最多の感染者3千3百万余人を出し、60万人もの犠牲者を生んだことを棚に上げ、日本の感染状況の悪化を報じる中でワクチン接種の遅れを指摘している。偶々昨日世界のコロナ犠牲者の数は、4百万人を超えた。感染者は1億8508万人にもなった。無観客と決めた以上、一部の有観客の例外をなくして無観客のまま開催し安全な大会にした方が良いと思う。

 まだ始まってもいないオリンピックであるが、2013年招致が決定した時は日本中が歓喜したものだ。だが、オリンピックはこれまで大会を重ねるごとに競技種目が増え大会は肥大化し、開催費用も増え続けている。とても観客の入場券だけでは賄いきれなくなった。そこへ全世界へのテレビ放映権料としてアメリカのNBCが、IOCと2032年までの夏冬6大会におけるアメリカ国内への放映権料として日本円7,780億円を支払う契約を結んだ。これなら無観客でも問題はない。IOCは全収入の約7割をこのテレビ放映権料から得ている。大会が開催されることによりIOCの台所も潤う反面、アメリカ・メディアのお節介な横車により、大会開催時期も彼らの都合に合わさざるを得なくなった。それが東京大会のように1年で最も暑い時期の開催である。

 ところが、アメリカのメディアは前記のようにIOCに還元することによって大会開催に大きな力を持つことになった。メディアの目に見えないパワーについて、アメリカの「ハリウッド・リポーター」誌は、「オリンピックの利益の多くは、海外のIOCとその放送パートナーに集中する可能性があるが、発生するかも知れないモラル・ハザード(倫理観の欠如)は、日本人に最も大きな打撃を与える可能性がある」と指摘している。

 すでにアメリカの有力ジャーナリストが連名で傲慢にも組織委員会の日本国内における行動要望に対してイチャモンをつけている。このコロナ禍の中で開催される大会期間中に自分たちの取材以外の行動制限に不満を漏らしているのだ。わがまま言い放題のアメリカ・メディアの思い上がりが、結局オリンピックを手に負えないほど巨大化させてしまったのではないかと気になっている。

2021年7月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com