5163.2021年7月1日(木) 中国共産党創立100周年を迎える。

 今日中国共産党は創立100周年の記念すべき日を迎えた。共産党誕生は、辛亥革命(1911年)からちょうど10年後のことである。偶然とは言え、今年創立100周年を迎えた母校湘南高校と同じ歳月とは不思議な縁である。誰ひとりマスクを着用せず7万人以上が集まった北京の天安門広場では、派手なショーや行進も行われ、習近平・共産党総書記が1時間以上に亘って国内外に向けて思いのままに都合の良い演説をし、今日の中国の発展は共産党によってもたらされたとぶち上げ、共産党1党独裁を正当化した。今年の目標としていた「小康社会(ややゆとりのある社会)」は全面的に達成し、国内の貧困問題は解決したと語った。台湾問題については、祖国の完全統一は決して志を変えることのない党の歴史的使命だと台湾独立のいかなる企みも断固粉砕すると述べ、民主派を締め付けている香港については、国家安全維持法による統制強化の必要性を強調した。相も変わらない共産党と習総書記の不遜な言い分である。

 しかし、経済の減速や、人口減少に伴う少子高齢化で、強気一辺倒だった中国も今先行きに大きな不安を抱えている。加えて公海洋上への覇権的進出などにより周辺諸国の反発が強まり、これまでの政策実行だけでは立ち行かなくなることも予想される。

 世界最多の14.4億人という人口を抱えながら、全国的に国民に貧困を舐めさせなくなったことは、共産党ならずとも国家として評価すべきであり、かつての貧しい中国を思えば、共産党が行った国造りは第1の目的を達したと言えるだろう。共産党は、脱貧困は達成され、食べることや着ることに困らない社会は基本的に実現したので、これからはともに豊かになる「共同富裕」へ向かうという。

 東京財団政策研究所・柯隆氏によれば、中国は貧富の差を表すジニ係数が社会的騒乱の警戒ラインとされる0.4を超えて0.465もあり、0.6を上回るとの説もあるという。これは、所得再分配の機能が弱いからだと見られている。党幹部など富裕層の持つ特権にメスを入れにくく、貧困層向けの政策が打ち出されにくいからである。言論の自由もなく、自由選挙権もなく法の支配や議会制民主主義の基盤がなく、監視社会下では国民が自由を享受し、平和な生活を営んでいるとはとても言えない。中国政府は、民主主義の基本原則を忘れ、成すべきことの順番を間違えていると思う。

 今では欧米ばかりではなく、多くの国々から後ろ指を指されかねない言動が多く。現状のまま押し進めると今後大きな衝突が懸念される。表面的には表れない農村部の貧困も敢えて政府として外部に知られないよう試みていることは、薄々知られている。秘密主義もほどほどにすべきであろう。いつまでも共産党が統治するような1党独裁国家では、今後複雑になる国際社会の中で臨機応変に対応し、このまま発展を続けていくことは難しいのではないだろうか。習近平総書記が恐らく泉下に眠っているであろう29年後の中国建国100周年に、果たして現在の習総書記が作り上げた「赤い帝国」が機能しているだろうか。

2021年7月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com