5162.2021年6月30日(水) 呆れた三菱電機の悪質な検査偽装

 朝日朝刊一面を見てびっくりした。トップ記事として大きく「三菱電機 性能検査で偽装」と書かれていたのだ。「JRや私鉄 全国に納入」と添え書きされていたように、小田急電鉄在職中にも社内に三菱電機の製品はかなり見られた。あの三菱電機が納入していた空調設備の検査で架空のデータを用いて適正に実施したかのように装っていたというのだから、極めて悪質である。これを35年間も偽証していたとは商業道徳上も許せない。こんな長い間取引先を騙していたとは、会社は一体何をしていたのかと首を傾げてしまう。更に会社の言い訳が聞いて呆れる。不適切な検査が行われていたことを認めた上で「安全性に問題はない」という不遜なものだ。

 三菱電機と言えば、そんじょそこらの成り上がり企業とは異なり、財閥三菱グループの中核企業でもある。その三菱電機がなぜこのような三菱グループにとっても恥辱的な事件を引き起こしたのだろうか。鉄道会社の空調分野で国内シェアではトップクラスで、新幹線などJR各社をはじめ、私鉄、地下鉄など幅広く採用されている。だが、近年悪質な事件は大手企業の間でも見られるようになった。2017年には神戸製鋼所でアルミや銅製品の品質データや検査の数値の改ざんが発覚し、19年に罰金1億円の有罪判決を受けた。NHKや民間テレビ局でもこのニュースを派手に伝えていた。監督官庁の国土交通省や、経済産業省も遺憾に感じており、加藤官房長官も再発防止策の策定を講じていくとコメントしている。

 三菱電機について私にはこんな個人的な経験がある。今から半世紀ぐらい前に小田急電鉄旅行部に勤務していたころ、国際航空運送協会(IATA)から国際航空券発券のライセンスを取得するために必死になって国際線航空チケット販売実績を上げるべく会社を挙げて走り回っていた。その一環として、私は三菱電機本社へしばらく出向するような勤務体制で、海外出張関係を扱っている部署へ机を置いてもらい、自宅から直接丸の内の三菱電機本社へ通って三菱社員及び家族の海外渡航業務のお世話をしていたことがある。社員の海外出張手続きや、赴任先国の大使館に駐在院家族の滞在ビザ申請などを行っていた。しかし、半年間で10件ほどしか取扱いがなく、島流しのような勤務は半年程度で終わった。それでも航空券販売実績は発券業者の資格を得るためにそれなりに貢献することが出来たが、今以て誰も知らない事務室の中で、いついただけるか分からない注文をひたすら待っていた姿が幻のように頭に浮かんでくる。

 その三菱グループ会社としての矜持を抱えている三菱電機が、会社ぐるみで何故かくも軽薄な不祥事を意図的に冒し、延々と黙ってきたのだろうか。

 会社としては反省、ただひたすら反省し、同じような過ちを犯さないよう心すべきである。つい最近経産省のキャリア官僚が、新型コロナウィルスの交付金を悪用申請していたことが判明し、世間に衝撃を与えたが、かつての財閥企業でもバレないだろうと悪事を行うことが目立つようになった。実に情けないモラルに欠ける乱世の風潮である。

2021年6月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com