5159.2021年6月27日(日) 立花隆氏はシベリア抑留をどう受け止めたか。

 昨夜遅くスコットランドのエジンバラで行われたラグビー日本代表チームと、北半球最強チームと言われる「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ」の試合は、日本が前半善戦しながらも3つのトライとゴールを決められ、0-21になったところで床に臥すことにした。今朝気になりながらニュースで結果を見るとスコアは10-28だった。後半は意外にも10-7で日本が圧倒したのだ。改めて録画で後半を観戦してみた。スコア通り日本が押していた。一昨年のワールド・カップ(WC)で8位になり、その強さを世界へ強くアピールしていた日本は、そのWCでもアイルランドに勝った。確かに日本チームは近年力をつけ、このところ試合内容でも中々良くなっていた。昨晩の試合でもうまくすれば勝てていたかも知れない内容だった。来週アイルランドとまた一戦交えるようなので、試合の関心と興味は募るばかりである。今後の日本代表チームの飛躍と活躍を期待したいと思う。

 ついては、午後NHKで過日亡くなられた評論家・立花隆氏を追悼するドキュメント・NHKスペシャル「シベリア鎮魂歌」が放映された。戦後シベリアに抑留されていた画家・香月泰男がシベリアを描いた絵画を想い浮かべながら、亡き画家を偲んで雪の中をシベリア抑留の名残りを辿るドキュメントである。戦後60万人の日本人がソ連に抑留され、多くの人びとが命を落とした。その彼らの生と死の意味を現地で考えるレポートである。立花氏は、香月の画は厳しいシベリアの自然の中で、収容者らが寒さと重労働、そして空腹に苦しみながらいかに生き延びたのか、また命を落としたのかを訴えており、戦後の日本人は戦争による戦没者の犠牲の下に日本が復興したことを意識せず、戦争の意味を考えない人が多いことを憂いていた。

 1991年晩秋にシベリアとサハリンを旅した。大分寒さも厳しくなった時節で、雪が降ることもあった。その10年後に今度は雪の中をシベリア鉄道で大陸を横断した。2度のシベリア旅行でシベリアの厳しい寒さと市民生活を身体で実感した。最初に訪れた時は、旧厚生省の要望もあり戦没者遺骨の調査を兼ねていたので、日本人戦没者に関連する施設や墓地、埋葬地などを各地で見て回った。立花氏が訪問した土地も訪ねた。テレビでは森林地帯で立花氏が戦没者と香月氏に思いを馳せ、彼らの気持ちを考えながら涙ながらにトツトツと語った姿が印象的だった。シベリアの豪雪がどれほど厳しいものであるかは、現地を訪れてみないと分らないものだ。この豪雪の中で重労働にこき使われ、ろくに休憩もなく粗食で朝から晩まで働かされ続けたシベリア抑留者の胸の内を思うと、立花氏の涙も頷ける。この映像は最近立花氏が亡くなったのを機会に氏を回顧して再放送されたドキュメントだったが、私自身長年戦没者の遺骨収集に関わって来ただけに、同じように胸が痛む。時がいくら経過しようとも、我々が現在生かされ、平和に生活していられるのは、戦争で尊い一命を落された戦没者とご遺族のお蔭であることを決して忘れてはならないと思う。

2021年6月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com