5104.2021年5月3日(月) 憲法記念日、年々増える憲法改定賛成論

 今日は1947年、日本国憲法が施行されたことを記念する国の祭日である。憲法は、第1章の天皇・第1条「天皇は、日本国の象徴であり日本国統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」に始まり、第11章補則の103条まで決められている。憲法の3原則は、1)国民主権、2)平和主義、3)基本的人権である。その中でも最も大切な条項は、第2章第9条「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明確に軍備放棄、戦争忌避をアピールしている。

 現行憲法制定の際は、マッカーサーGHQ総司令官から3つの原則が提示された。1)天皇の国家元首としての地位、2)国家の主権的権利としての戦争放棄、3)封建制の廃止、だった。ただ、マッカーサーの原則は現行日本憲法を強く拘束するものではなく、法案は日本人の憲法問題専門家が作成し、それをマッカーサーが容認したものである。従って、現行憲法はアメリカから押し付けられたというのは、誤解である。

 しかし、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と憲法上に謳われていながら、今では名称こそ軍隊と名乗ってはいないが、日本は疑似軍隊の自衛隊を保持している。しかも年々防衛費は増え続けて、今では世界でも十指に入る軍事力を具える国にまでに増強された。明らかに憲法に違反している。だが、近年周辺国、特に中国軍の海上進出の高まりと災害時の救援などの自衛隊の活動が高く評価されている現実などから、憲法改定を具体化しようとの空気が強まっている。改定によって自衛隊を軍隊に格上げさせ、自衛隊員のプライドと捧国精神を高めたいとの思惑や戦争を知らない世代の戦争不感症によって、憲法改定の動きが少しずつ現実化しつつある。

 京都市立中学3年時の社会科担当の棚橋先生が、生徒たちが外国からの侵略に備えて国を護るために軍隊が必要だと言ったことに対して、いくら侵略されようとも無防備のまま無抵抗の方が、犠牲者は少ないので、軍備は必要ないと仰ったことが今も頭に残っている。その時そうかなぁ、なるほどと思った。今は亡き棚橋先生は骨のある授業をしてくれた。

 我々は戦時中幼く戦うようなことはなかったが、空襲で防空壕に逃げ込んだり、戦地で戦没者慰霊や戦没者の遺骨収集事業に関わることによって、ご遺族の悲しみを痛いほど思い知らされた。現在の憲法改正賛成者は、まったく戦争の恐ろしい臨場感を知らない人たちである。戦争を知らない世代がいくら国を護るために軍備が必要だと言っても説得力が伴わない。

 朝日新聞の直近の世論調査に依れば、憲法施行後初めて改憲を必要(45%)とする人が、必要ない(44%)とする人を上回った。この傾向は年々顕著になり、いずれ若い「戦争を知らない世代」が増えていくにつれて改憲派が増えるだろう。年齢的にも75歳以上は55%が改憲に否定的だった。

 私は長い間憲法改定に反対してきた。理由は「戦争は悲惨で残酷だから嫌い」の一言である。

2021年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com