5097.2021年4月26日(月) 世界の軍事支出は増大するばかり

 昨日東京では緊急事態宣言が発出されたが、まだまだ都民にその主旨が充分伝わっていないのではないかと思われる。人の流れが新型コロナウィルスの感染拡大に手を貸していることは間違いない。今日日本のコロナ死者が1万人を超えた。多くの企業に休業、並びに自粛要請をお願いしてまでして人出を抑え、人の流れを止めようとしているが、若い人たちが盛り場などへ繰り出すことによって感染者の数は一向に減らない。小池東京都知事が、しびれを切らしたかのように「東京へ来ないでください」とまで言ったところで、遊ぶ施設の多い東京へ若者がやって来る。だからと言って強制力を持って人びとが外出しないよう命じることは、更に難しい。その点ヨーロッパでは思い切ってロックダウンを実施している。日本では政府、及び自治体ともにまだそこまでは踏み込めない。都知事が夜8時以降はネオン、明るい広告板などは消すよう求めていたが、中々守れてはいないようだ。コロナ禍防止のために取り組む意気込みの差が人によって、或いは企業によって異なるのではないかと思っている。

 さて、昨今の中国の国際法違反の海洋進出以来各国の間に軍拡競争がエスカレートしつつあるが、このほどスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が、2020年の世界の軍事支出を発表した。

 それによると軍事支出の推計額は、コロナの感染下にも拘わらず、1988年以降で過去最高だったという。世界経済がコロナによる打撃を受けた中でも軍事費だけは増えたことになる。世界の国内総生産(GDP)に占める軍事支出の割合は、2.4%となり、更に前年の2.2%から上昇した。支出額の多いのは、例年と変わらないが、1位アメリカ以下中国、インド、ロシア、イギリスの順で、この5カ国の軍事支出だけで世界の軍事費の62%を占める。しかも、この傾向は益々強まり、26年連続の増加傾向である。どこの国もすぐ戦争をやろうとは思っていまい。だが、備えあれば憂いなしの諺通り、各国ともいざ鎌倉!に備えた無駄な支出を続けている。国防力だけは、備えていないと安心できないと見えて、各国ともせっせと国防力増強に邁進するようになる。

 太平洋戦争敗戦により戦争に懲りた日本は、国防費を必要としない模範的な憲法を制定し、戦力を持たないと誓い合った。しかし、憲法に明記されているにも拘わらず、戦後まもなく警察予備隊という名のもとに自衛力を具え、その名も保安隊、自衛隊と改め、今では完全に軍隊と見られている。国家防衛予算も最初のころは、1兆円をシーリングにしていたが、それが国家予算の1%となり、今年の防衛予算は実に5.3422兆円にまで膨らんだ。そのうえもうひとつ自由に使える別腹会計と言っても好い、前年度獲得した補正予算を使おうというのである。その額が、3,867億円もある。日本は、サウジ・アラビア、ドイツ、フランスに次いで何と世界で第9位の軍事大国なのである。防衛予算については、アメリカの要求もあり、明確なシーリングが決められていないのが実態である。こうして防衛予算だけは聖域化され、時の政府の都合により雪だるま式に膨れ上がっていく。

 もう少し支出を厳格にチェックする必要もあり、もしこのまま放置すると防衛予算は、やりたい放題になる心配がある。

2021年4月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com