5064.2021年3月24日(水) 中国のやりたい放題は許されるのか。

 中国包囲網?の本格的スタートかと思わせるニュースが伝わってきた。一昨日ヨーロッパ連合(EU)が中国で新疆ウィグル族に対する深刻な人権侵害が続いているとして中国への制裁を発動した。続いてアメリカ、イギリス、カナダも同調し中国への制裁を課した。18日に米中外交トップの会談で米中が角突き合わせて非難の応酬を行ったのをきっかけに、世界的に中国への非難がエスカレートしている。人権蹂躙、民主化抑圧はチベットや香港でも見られる。加えて東シナ海、南シナ海の公海上における中国独自の海洋進出が批判されている。直近でもフィリピンの排他的経済水域内に約220隻の中国漁船が集結し、漁を行わず留まっている行為に対してフィリピン政府は中国に強く抗議している。こうした中国の国際法違反の行為が、今アジアを中心に各国の神経を苛立たせている。

 この欧米による中国への非難、制裁に対して、中国は直ちに反応し対抗策を打ち出す構えを見せている。中国は独自に行動する前にロシアと共同歩調を取り、身勝手にも人権問題の政治化に反対し、民主主義を広めることを言い訳にした内政干渉は容認出来ないとの中ロ共同声明を発表した。トランプ政権でややアメリカの同盟関係が弱まっていたが、バイデン政権になってアメリカは、再び同盟関係を重視し、一致して中国の人権抑圧に強い態度で向き合っている。

 どうも分からないのは、誰が見ても受け入れられる筈がない中国の海洋進出、ウイグル・チベット民族へ人権蹂躙、香港の「1国2制度」の骨抜き、などを中国政府が内政干渉と非難したことに対して、中国国民が中国政府の哲学や行為を黙認していることである。1989年6月に起きた天安門事件のような自由や、民主化に反対する庶民の声が近年まったく聞こえてこないことである。中国国民は死んでしまったのだろうか。

 天安門事件については、知人の軍事評論家でNPO国際変動研究所理事長・小川和久氏が毎週情報「NEWSを疑え!」を送ってくれるが、最新号にこんな情報が書かれていた。

 天安門事件直後にフランスのアルシュで開催されたサミットでは、議長国のフランスをはじめ西側諸国が天安門事件での中国政府の対応を残虐行為として激しく非難した。しかし、サミット直後に米国のブッシュ大統領(父)が中国の最高実力者・鄧小平共産党中央軍事委員会主席に送った書簡では独自の外交姿勢が示され「先日のサミットの共同宣言の草案には中国を過度に非難する文言がありましたが、米国と日本が取り除きました。米議会は中国との経済関係を断ち切ることを求めていますが、私は波風を立てないよう全力を尽くします。今は厳しい時期ですが米中は世界の平和と両国の繁栄のため共に前進しましょう」(ブッシュ回顧録)これをきっかけに、中国の姿勢は軟化していき、1997年の江沢民共産党総書記の訪米、1998年のクリントン大統領の訪中と外交関係が修復されている。そして中国側は決まって次の言い方をしたのです。「仲がいいから喧嘩をするのです。これからも話し合いましょう」。激論を交わすことを避け、忖度に走りがちの日本外交が参考にしてもらいたいとは、小川氏のコメントである。こんな日米同盟の隠れた過去もあったのだ。日本は今日欧米諸国から中国に制裁を課すよう求められているが、人権侵害のみを理由に制裁を課す法律がないことを盾に、透明性のある説明を求めていくとこれまでと同じ見解を加藤官房長官は述べた。

 それにしても中国の行動は少し羽目を外していると思っている。

 ところで、今日スポーツ界に2つのショッキングなニュースがあった。ひとつは、ついに横綱鶴竜の引退が正式に発表されたことである。過去6度の優勝を誇る鶴竜も近年はケガ続きで休場することが多く、今場所の休場によって5場所連続休場となり、来場所が引退をかけた場所になる予定だったが、ケガの回復が思わしくなくついに引退へ追い込まれた。昨年12月に日本国籍を取得したため、親方になるには障害はなく、今後は年寄「鶴竜」として若手の育成に力を注ぐ。

 もうひとつのニュースは、柔道のバロセロナ・オリンピックの金メダリスト・古賀稔彦氏がガンのため今朝亡くなられたことである。まだ、53歳という若さだっただけに各界からその早い死を惜しまれている。心よりご冥福をお祈りしたい。

2021年3月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com