5057.2021年3月17日(水) 対中政策を意識した日米同盟の結束

 昨日日米の外務・防衛担当閣僚同士の(2プラス2)会合が都内で行われた。日本は茂木外相、岸防衛相、アメリカはブリンケン国務長官とオースティン国防長官が出席した。目的はバイデン政権発足後、かねてより中国の海上進出と人権問題を憂慮していたアメリカが、同盟国日本とアジア太平洋地域における対中政策を話し合った。従来のトランプ政権が対中警戒を唱えながらも同地域への関与に積極的でなかったが、バイデン大統領は早々に手を打った。特に、日米安保条約第5条で尖閣諸島が日本の領域に含まれることを認識していながら、これまで積極的なコミットメントを述べなかったアメリカが日本防衛のために強調したことが目新しい。中国海警法の施行により、中国が自国領海内の警備に圧力をかけてきたことも踏まえ、台湾海峡の安全、防衛にも配慮することも確認した。更に、香港及び新疆ウィグル自治区の人権にも深刻な懸念を表明した。

 これまであからさまに中国を名指しで非難することはしなかったが、今回の会合では、軍事的、経済的に台頭する中国を強くけん制する共同声明を発表した。これに対して中国外務省は即座に反応し、「国家間の団結や地域の平和と安定に資するべきで、第三者の利益を損なうものであってはならない」とコメントした。

 実はこれに先立ち、去る12日に日米豪印のクアッド(4)と称する首脳会談がオンラインで行われている。極東のみならず、インド太平洋地域における安全保障をアメリカも加えて話し合われた。あくまで中国を標的にしたものである。いかに中国の昨今の進出が強力であるかが想像できる。実際中国は急速に軍事力を増強し、今では中国は、アメリカをして21世紀の安全保障にとって最大の長期的な戦略的脅威だと言わしめている。それが、ここへ来てアメリカに同盟国関係を緊密にしようとの考えが強くなった理由である。今日2人の閣僚は韓国へ飛び、韓国の外相と国防長官と会談した。明日18日は、アンカレッジへ飛び、中国の王毅外相と会談する予定である。アメリカ外交も急速に慌ただしくなってきた。

 さて、今日懐かしいテレビ・ドキュメント番組を観た。NHK・BS―世界のドキュメンタリー「カラーでよみがえるアメリカ」と題して1960年代のアメリカの政治的、社会的事件をダイジェストしたもので、ちょうど学生時代から社会人になって間もない当時でもあり、世界的事象に関心が強かったので、よく記憶しているし、後年訪れた場所も多い。

 この時代は、米ソ冷戦時代下にアメリカでは公民権法成立前後で人種差別が社会的に大きな話題となって社会は揺れていた。ケネディ大統領の当選から始まった公民権法への動きだったが、キューバ危機、ケネディ暗殺、キング牧師殺害など衝撃的事件が連続して起きた時代だった。私はダラスでケネディ大統領を狙撃した場所、その後小博物館となった教科書会社倉庫を訪れたことがある。そしてベトナム戦争である。これらの光景が画面に映し出されたが、語弊があるかもしれないが懐かしく感じた。こういう歴史的にも重要なドキュメンタリーは、時々放映してくれるとありがたい。

2021年3月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com