5047.2021年3月7日(日) ミヤンマー・クーデターで分かる中国の進む道

 2.26事件が起きた2月26日前後に、メディアがまったく事件に関する報道を行わないことに苛立ちを感じてこのブログでも書き留めたことが何度かある。昭和天皇が生前最も辛く印象的な事柄として、終戦宣言を発したことと、この2.26事件だったと言われていた。2.26事件は軍国化しつつあった当時の日本を一気に軍事国家へ傾かせた大きなきっかけとなった歴史上の大事件である。私のブログを読んでくれた、台湾に通じている知人が、台湾でも民族問題で台湾史上最も凄惨で3万人もの犠牲者を生んだ虐殺事件だった2.28事件について、日本の2.26事件と同じように台湾国内でも近年関心が薄れてあまり報道されなくなったと教えてくれた。

 その2.26事件記念日から1週間ほど経過して、一昨日NHK・BSで「二・二六事件の全貌~発見最高機密文書で迫る」を観た。これは最近まで公表されなかった海軍の機密文書から事件の全体像を解明していくドキュメントだった。これまでに松本清張著「昭和史発掘」の他にもいくつか事件の関連書を読んでそれなりに事件のあらましは知ってはいたが、このドキュメントで、改めて当時の陸軍と海軍の激しい対立関係を学ばされた。そして安藤輝三、栗原安秀ら事件の主たる将校が事件の1週間前には、すでに海軍軍令部で首謀者と察知されていたことや、避けられたかも知れない青年将校の決起を無残にも無謀なクーデター計画実行犯として貶めたことなどを残念に思っている。しかし、いずれにせよ2.26事件は日本を戦争に導いた大きな足掛かりとなったことを忘れてはならないと思うし、さればメディアもきちんと史実を正しく伝える努力を怠ってはならないと思う。

 さて、軍部が実権を握った現在のミヤンマーでは、このところ相も変わらず軍の発砲事件が頻発して若者が死地に赴かされている。少し雲行きが変わって来たのは、軍や警察から上司の命令に従って市民に銃口は向けられないと所属部署から離脱する兵士や警察官が現れてきたことである。その一部は、国境を越えインドへ脱出している。インドは国境問題など中国との関係が思わしくなくなったこともあり、彼ら避難民に支援すればするだけ、ミヤンマー軍政府は中国を頼るようになり、インドにとっては頭の痛いところだ。

 昨日国連安保理事会が開催され、イギリスが理事国に提示した議長声明原案では、国軍によるクーデターや平和的なデモ参加者への暴力の行使を「非難する」と明記し、状況がさらに悪化する場合は「国連憲章の下で可能な措置を検討する用意がある」と警告している。抗議デモへの弾圧で死傷者が増え続ける中、欧米諸国は国軍の行為を安保理として一致して非難し、国際的な圧力を強めたいとの考えである。しかし、常任理事国で拒否権を持つ中国とロシアは、予想されたこととは言え「非難」など踏み込んだ声明案に難色を示している。中国とロシアは「自由」や「民主化」などお構いなしに、自国にとって利となることなら相手国の立場や主義主張に関係なく独善的な道を自ら選択するということである。ミヤンマー問題解決も難しくなるようで嫌な予感がする。

2021年3月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com