5046.2021年3月6日(土) 中国、「民主化」を抑圧し軍事大国・覇権国家へ

 昨日北京の人民大会堂で全国人民代表大会(全人代)が幕を開けた。新型コロナウィルス禍の中で、世界各国の経済活動がマイナス成長の時に、中国の経済成長率は昨年2.3%で主要国の中で唯一のプラス成長だった。今年の経済成長率は6%以上の目標を掲げた。ただ、経済環境は決して明るいものではなく、市場では8%前後とする予測が多かったようだが、中国政府は控えめの数字に抑えた。

 いつも自国の発展ぶりを積極的に諸外国にPRする中国が、今年は第14次5か年計画の具体的な数字を敢えて示さなかった。総じて外需依存を止めて国内経済を成長させ、科学技術の発展を支えることを目指すということらしい。

 その他には欧米諸国を強く刺激することが2点ある。ひとつは、香港民主派の影響を削ぐために、香港の選挙制度を改変することであり、もう一点は、国防予算の大幅な増額による国防力の更なる増強であり、これは、前年比6.8%増で過去最大規模の総額22兆6千万円となった。

 前者については、香港市民から「自由」と「民主」を略奪するものである。王晨・全人代常務委副委員長は、「香港を統治する者は愛国者でなければならない」と身勝手に語り、香港で選挙に参加する者を選別する機構を作るという。今後香港ではとても「自由」や「民主」が行われないことは明白である。太平洋戦時下の軍国日本の翼賛選挙でもこれほど自由を取り締まったことはない。中国の自由締め付けは行き着くところまで行ったとの感が強い。

 香港返還の際宗主国だったイギリスと約束した「1国2制度」は一方的に破棄されてしまった。流石に最後の香港提督を務めたクリス・バッテン氏は、「香港の自由と法の支配の下での民主主義の拡大への願望を抹消する最大の一歩だ。1国2制度の誓約を完全に破壊するものだ。中国共産党は、信頼することが出来ないということを改めて世界に示した」と憤懣やるかたない心情を露わにした。

 後者の国防予算については、世界一流の軍隊を目指す習近平・国家主席が意識している国は明らかにアメリカである。南シナ海や台湾での運用を想定した軍備の拡充が進んでおり、益々大国意識を募らせている。日本の尖閣諸島海域にも侵犯の度数が増え、東アジア地域の緊張が一段と高まっている。自国のためにアジア周辺諸国を攪乱しようとする中国の動きからいよいよ目が逸らせられなくなった。

 さて、今日腹が立つことがあった。日本中央競馬会(JRA)がおよそ2,700人いる調教師と騎手の内、165人がコロナ対策の国の「持続化給付金」を制度の主旨から逸脱して受給していたとの調査結果を発表した。総額で1億9千万円(1人当たり約115万円)という。彼らを労働者と見做し、緊急事態宣言により労働日を減らされたことを理由に給付金を申請し受領できるとしたら、他のプロ・スポーツ選手や関係者はどうなるのだろう。営業時間を短縮され、手取り額を減額された飲食店従業員などはやり切れない思いであろう。

 流石にJRA理事長は、謝罪し、受け取った給付金を返還させると語った。もらえる物なら何でももらうという魂胆が情けない。

2021年3月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com