5024.2021年2月12日(金) 森五輪組織委員会会長辞任、後任未定

 昨日辞意を漏らした東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、今日同組織委員会臨時会合で正式に会長職を辞すると表明した。昨日森会長は後任として川渕三郎・元Jリーグ・チェアマンに依頼し、84歳の川渕氏が人生の最後の大仕事と引き受けたと伝えられた。

 ところがこの密室的な禅譲打診がひと騒ぎとなり、問題を起こした人物が実質的に後継者を指名するのは社会的に理解を得られないとか、組織委員会理事出席の下にきちんと透明性を持ってルールに則って決定されるべきであるとの疑問や異論が出て、改めて後任会長が決定されることになった。この空気に昨晩は森会長から頼まれ感激のあまり涙を流して快諾した川渕氏も嫌気がさしたのか、昨日はやる気満々だったが、今日は依頼されても引き受ける気がないと語る始末である。

 後任会長候補として、女性である橋本聖子オリンピック担当大臣の名も挙がっているが、閣僚とのかけもちは認められていない。来月下旬には聖火リレーが始まるが、今のところ会長人事は暗中模索である。

 それにしても森会長の気持ちは複雑だろう。多彩な人脈と巧みな外交手腕により、オリンピック大会招致を決定し、爾来世界中を歩いて東京五輪の啓蒙を行っていざ開催となったらコロナの襲来により1年延期となった。今年こそ腕の見せ所で新設なった国立競技場で本番開催まで辿り着いていながら、つい軽口からその役職を退かなければならなくなってしまった。

 2014年拙著『南太平洋の剛腕投手』を上梓した関係から、森会長のご交誼をいただき、何度となくお会いしてお世話にもなった。あの森さんが大舞台を去るとはご本人にとっても不本意だろう。世間の声は別にして、言動において誤解されがちだったが、お人柄は大変素晴らしい人だった。個人的に存じ上げていただけにお気の毒であると思っている。

 今日もうひとつ驚くようなニュースがあった。新型コロナウィルスの影響で外出自粛により交通機関、中でも平素は安定経営をしている首都圏の大手鉄道会社9社が、昨年4月~12月の決算が軒並み赤字となったことである。最終四半期は緊急事態宣言が発出されて再び鉄道利用者が減少していることから、更に経営を圧迫しそうで各社は最終損益の見通しを下方修正する。

 観光業でもいくつか不協和音ならぬ「不況和音」が聴こえてくる。そのひとつは、大阪城の近くにある藤田観光が経営する「太閤閣」が身売りされることになった。8千坪の庭園に築百年を超える料亭、結婚式場、宴会場があり、一昨年開催されたG20大阪サミットの会合にも使用された。少しずつコロナが外壁を越え、天守閣へ近寄っている感じである。

2021年2月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com