5023.2021年2月11日(木) 森喜朗・東京五輪組織委員会会長辞意

 俄かに森喜朗・東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の動向が慌ただしくなってきた。メディアは、森会長が辞任の腹を固め、明日の組織委員会会議で正式に辞任すると伝えた。先日の女性蔑視とも受け取られる発言で、国内外から大きな批判と反発が挙がって、その後の記者会見における謝罪も開き直るような姿勢が見え隠れして、反って火に油を注ぐ結果となった。IOCも当初は森会長の発言撤回と謝罪で終了と幕引きを図ったが、一昨日になって「発言は極めて不適切で、IOCが取り組む改革や決意と矛盾する」との声明を改めて発表した。その後も国内外から非難が上がり、発言は到底受け入れられないとのコメントが寄せられていた。この期にオリンピック開催の当事者である小池百合子東京都知事が、17日に予定していた政府、IOC,東京都、組織委員会の4者会談に欠席すると語った。足並みが乱れ始めた。

 組織委員会内部では、オリンピック開催が半年内のこの期に及んで最高責任者が身を退くことには必ずしも賛成者はいなかったようだが、背に腹は変えられない。森会長も漸く辞任の決断をして後任に川渕三郎元Jリーグチェアマンに後事を託したらしい。海外のメディアは辞任を速報で伝えた。

 森会長にはお気の毒であるが、身から出た錆とも言える軽薄な発言でもあり、これだけ国際的な問題に発展すれば身を退くこともやむを得ない。かつて総理時代に「日本は神の国」と失言して日本中をアッと言わせたが、奇しくも今日は建国記念日であり、昔の紀元節である。森会長も小学生低学年時代に学校で歌ったであろう♪雲にそびゆる高千穂の~♪を思うと、最後になって国粋主義者森喜朗にとって皮肉っぽい結末になったのではないだろうか。

 さて、もうひとつ気になったのはミヤンマーの軍事クーデターである。ミヤンマー国内で国軍に対するデモが拡がっているが、デモ隊を押さえつけていた警察の一部が、デモ隊に合流してともに軍に対して行動を起こしたことだ。これが仮にエスカレートするとこれまで国軍は警察と一体化して国民と対決していたが、警察を敵に回すことになる。

 そして、最も厄介なのは国軍が力で権力を握ったことにより、2017年に話題となったロヒンギャ族難民問題が再び注視されるようになることである。バングラデッシュにいるロヒンギャが不安を募らせているようだ。

 私には今朝の朝日に掲載されたニューデリー、バンコック駐在記者による報告に納得できない。相も変わらず、ロヒンギャ難民発生をミヤンマー国軍の責任にしていることで、近著「八十冒険爺の言いたい放題」の中で、私が口酸っぱくして追及したその責任とは、遥か昔宗主国イギリスが当時のインド領からビルマ領内にロヒンギャ族を強制移住させたことにある。ところが、メディアは今以てイギリスの責任には触れず、ミヤンマー国軍に全責任を押し付けようとしていることに失望している。

2021年2月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com