5016.2021年2月4日(木) 森喜朗さんの問題発言と森さんの思い出

 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の昨日の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」との発言が、女性蔑視と見られ物議を醸している。これは日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、話された内容である。「女性ってのは競争意識が強い。誰かひとりが手を上げて言うと自分も言わなければと思うんでしょう」「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度規制しないとなかなか終わらないので困る」とも言われた。真意はともかくこの発言だけを切り取ってみると、女性蔑視と受け止められても仕方がないと思う。JOCの現理事は25名であるが、そのうち女性理事は僅か5名で、JOCとしては10名以上にすることを目標としている。森会長は今日記者会見で、自らの発言は不適切な発言だったと反省し、発言を撤回すると述べた。辞任する気持ちまで尋ねられたが、辞任はしないと述べた。

 この発言が国内だけで処理できる問題ならともかく、オリンピック組織委員会のトップの発言として、すぐ海外にも伝えられた。フランス紙は、うんざりする発言だと批判し、日本は153カ国のうち男女平等では121位だと指摘した。よほど気をつけないとうっかり発言が世界中に波紋を巻き起こすこともある。地位のある人はそれなりに、自らの発言に責任を持ち常に謙虚でなければいけないと思う。

 森さんと言えば、次のように個人的に印象的な思い出がある。2014年「南太平洋の剛腕投手」を上梓したが、その中で旧トラック島の相沢進酋長と森さん、野球評論家・佐々木信也氏の3人を主役に戦前の日本と南洋群島トラック島時代から戦後のプロ野球界の側面的なストーリーを書いた。その折以下のような事情で1章すべてをカットしたことがある。

 それは、森さんがトラック島周辺を相沢氏の案内により船で巡っていた時に、相沢氏が森さんに無人島を提供すると申し出て、森さんはいただいた自分の島「森島」について私に話してくれた。その直後に私はトラック島へ渡りすでに亡くなられた相沢酋長の長女にその話をしたところ、そんなことは誰も知らないと言われた。そのどんでん返しが興味深く拙著のエピソードに採り上げて書いた。それを読んだ森さんが海外へ出発するため成田空港へ向かう車内から電話をかけてこられ、その島は目の前で酋長が自分に贈るとはっきり言い、その場に証人としてミクロネシアの当時のモリ大統領もいたと仰り、拙稿に随分おかんむりだった。元総理大臣のお怒りもあり、また相沢酋長は口が軽いと現地でも呼ばれていたので、森さんに贈られた無人島「森島」もその場限りの発言だったのではないかとストーリーを書いたのだが、森さんのお気に召さなかったために後ろ髪を惹かれる思いでこの部分をそっくり削除した。あれから早や7年が経つが、拙著の中で唯一心残りの箇所となっている。

 森さんは拙著の出版記念会にも出席され、スピーチもしてくださった。拙著を後援会出席者に配るからと900冊も購入してくれた。恩義のある方だけに昨日の発言は遺憾であり残念である。

  偶々今日は観測史上一番早い「春一番」が吹いた。もう目の前に春が来ているというのに、どうにも春らしい心が温かくなるようなワクワク感が湧き上がって来ない。

2021年2月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com