5007.2021年1月26日(火) 本塁打王ハンク・アーロン氏亡くなる。

 去る22日アメリカ・メジャー・リーグで活躍した黒人ハンク・アーロンが86歳で亡くなり、野球ファンの間でその死を惜しまれている。黒人最初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンと並んで、黒人選手差別の範としてその都度名が挙がる英雄である。アーロン選手は、1974年それまで不滅の記録と言われていたベーブ・ルースの714本のホームラン記録を塗り替えたことで野球ファンから高い評価を受けた選手である。しかし、白人選手の記録が黒人によって破られることに嫌悪感を抱く白人ファンから度々嫌がらせを受けていた。その後もホームランを打ち続け、生涯755本を放った。その記録はバリー・ボンズ選手に破られるまで33年間もメジャー・リーグ記録として輝いていた。

 1960年代は、アメリカでもキング牧師らの主導による公民権運動が盛んで、表向き人種差別がなくなったように見えたこともあった。だが、その後も噴火山のように露骨な差別が表面化することがあり、その度にアメリカの「自由」「民主」「平和」が問い直された。一旦収まったように見える人種差別が、これまでにも地下に潜行しながらしばしば表に顔を出すことがあった。

 それが大統領としては自国内の白人・黒人の差別を持ち出すわけにもいかず、アメリカは移民を差別するような言動で振舞ったトランプ前大統領の下で分裂と対立を煽るようなパフォーマンスを見せるようになった。そのトランプ前大統領をアメリカ国民のほぼ半数が支持していたわけである。つまり、トランプ氏が差別について過激な言動をしなくてもアメリカ国民の間には、かなりの差別主義者がいるということである。

 そのように黒人選手にとって厳しい環境に晒され、白人選手に負けずに幾多の記録を達成したのは、アーロン選手の実力もさることながらその精神力の強さに負うところが大きいと思う。

 今から20年前、ニューヨーク同時多発テロが発生した年の5月に次男と、アトランタを訪れブレーブスの試合を観戦した。球場内の展示スペースにはアーロン選手の胸像が置かれていたのを覚えている。最後の2年間はブリューワーズに所属したが、活躍の場はほとんどブレーブスで、地元のブレーブス・ファンから愛されていると感じた。

 今やアメリカでは多種多様なスポーツが好まれ、多くの国民の間でプレイされている。そして、そのスポーツのほとんどは黒人選手が活躍している。黒人選手がいなければ、アメリカのスポーツ界は、それほどの強豪国でもないくらいである。それほどリスペクトされるべき黒人選手が、独立以来影になり日向になり人種差別の嫌がらせやパンチをくらい続けているのである。

 果たしてバイデン新大統領は、少しでも差別を解消するような積極的な政策、言動を取ることが出来るだろうか。

2021年1月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com