4974.2020年12月24日(木) 連続過去最多のコロナと31年前の外交文書

 連日新型コロナウィルスのニュースが大きく取り上げられ、些か辟易しているが、今日もまた全国で3,673人、東京でも888人の感染者を出していずれも過去最多と発表された。小池都知事は、飲食店業界に強制力を伴わない自粛要請では閉店時間の繰り下げを求めるのは難しいと、政府が緊急事態宣言を発するのをイライラしながら待っている様子である。

 こうした時勢の中で、毎年住友生命が発表する今年の四字熟語に「医師奮診」「収束渇望」「全面口覆」「出発振興」などコロナに関する言葉が挙げられた。中々うまく庶民感覚を捉えたものだと感心している。

 さて、今から30年以上も昔の1989年6月、かの天安門事件が起きた。世界中の話題をさらった共産国家中国の民主化への弾圧と非道な人権侵害が起こした事件だった。30年以上が経過して今外交文書が公開され、当時の日本政府と主要先進国の対中国外交政策が公に晒されている。この年の11月にはベルリンの壁が崩壊して社会主義国家が崩れて行き民主化への足掛かりの年となだった。中国にもそれが期待されていた。だが、民主派指導者の胡耀邦・中国共産党総書記の失脚・急死の追悼集会を機に、多くの学生らが天安門広場で民主化を求める大規模な運動となって発展した。これを党指導部は「動乱」「国家への反逆」と断じて3日夜から4日にかけて軍隊を投入して民衆を制圧した。この後江沢民が総書記に就任し、改革派の趙紫陽は失脚した。この時を境に中国の強圧的な非民主主義社会が一層強化されて行った。

 翌7月の先進国首脳会談、いわゆるG7サミットで各国首脳の間では事前に中国政府に対する厳しい要望を盛り込んだ宣言文作成に当たった。人権問題として中国を非難したうえで、各国が中国政府に対していかなる制裁を課すかとの話し合いが始められた。天安門事件の当日3日に就任したばかりの宇野宗佑首相が出席した日本は、中国を孤立させないための方策を講じて提言した。日本が提案した宣言文は、中国の孤立化を避け、早期に協力関係への復帰をもたらす条件を作り出すことを中国に求めるという、中国政府にとってはホッとする内容だった。

 その後中国は国内民主派を弾圧し、対外的に孤立化の道を歩み、サミットで約束させられた各国との協力関係に対する前向きな行動は残念ながら見られない。日本の中国政府に対する過剰な忖度は、中国によって見事に裏切られてしまったのである。

 今になって当時の日本の生ぬるい外交交渉が外交文書により公にされたところで地団駄を踏むばかりであるが、この日本のおもいやりの気持ちを中国政府に理解してもらう努力は今後も続けていくべきだと思う。

 日本外交の失敗ではなく、思い違いによる行き違いのケースは、今後も起きる可能性があるが、外交文書を金庫の奥深くにしまい込むのではなく、時折公にして精査しては同じ轍を踏まないよう努力を惜しんではならないと思う。

2020年12月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com