4971.2020年12月21日(月) 就職志望に見える大学生の意外な視点

 新型コロナウィルスの感染拡大が止まらない中で、来年度の大学生の就職が懸念されている。すでに大手企業でも多くの退職者を出し、新卒採用者の雇用を手控えると公表している企業も多い。

 今日1広告会社「学情」の調査による2022年卒学資江の就職人気企業ランキングが発表されていた。当然コロナ禍の影響を受けやすい観光業界の各業種へ二の足を踏むせるかと思いきや、それほど気にしている傾向は見えない。人気の高かった大手航空会社、日本航空と全日空は来年度採用を中止すると公表したにも拘わらず、現在3年生は自分たちが就職する22年度には、コロナが終息し航空会社が採用を再開すると考えているのか、順位こそ下がったが、日航は88位、全日空は79位に留まっている。ホテルの名は100位の中にはユニークな存在の星野リゾート・マネジメントが92位に顔を連ねているだけであるが、相当影響を受けている筈の旅行会社への志望が高いのには、意外な感じがした。
 年々旅行会社への人気と入社希望が高まっていて近年は、JTB、近畿日本ツーリスト、HISが上位にランクアップされていた。今年も昨年2位だったJTBが9位に控え、23位に近畿日本ツーリスト、35位にHIS、66位に日本旅行が入っていた。はっきり言ってこれら先のHISまでの3社は、今年度決算は大幅な赤字が予定されている。特に、近畿日本ツーリストについては、「選択」誌12月号の企業研究「近鉄グループHD」によれば、壊滅的と書かれている。旅行業界でも健全な営業路線を歩んでいて、1位のJTBの地位を虎視眈々と狙っていると考えられている近畿ツーリストが。子会社の上場企業KNT-CTが債務超過寸前の惨状にあるという。それには、親会社の近畿日本鉄道が私鉄業界の中でも最悪の決算を出しそうで、崩壊寸前とまで酷評されている。現時点で私鉄の中で唯一運賃値上げを考えているのが近鉄だそうである。

 その近鉄グループホールディングスが、昨年の179位から45位に躍進しているから現在実態とはかけ離れている。他に私鉄の会社は100位の東京メトロを覗いて、近鉄以外には見当たらない。

 この他に目立つのは、出版不況と言われる中で出版社の人気が高いことである。4位講談社、11位集英社、15位ベネッセコーポレーション、16位KADOKAWA、62位新潮社、など意外なほど人気が高い。

 我々の学生時代には、損保、商社、銀行などが上位を占めていたが、随分変わったものである。

 大学3年生には、まだ世間や経済界の実態がよく分かっていない点もあるかも知れない。もう少し時間をかけて調べて、自らの希望と将来性のある会社とをマッチングして社会人人生へ乗り出してもらいたいものである。現実はコロナに攪乱されて実態が見えにくいが、それだけに慎重に将来の道を誤らないようよく見定めて前へ進んで欲しいと願っている。

2020年12月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com