4965.2020年12月15日(火) バイデン氏、正式に次期米大統領に

 11月3日に投開票が行われ、バイデン前副大統領は投票と投票人の過半数を獲得していながら、敗者トランプ大統領が相手候補のバイデン氏側に不正があったとして訴訟を起こし自らの敗戦を認めようとしなかった。しかし、昨日選挙人による投票の結果、予想通り306対232でバイデン氏が過半数を獲得して大統領就任を確定した。それでもトランプ大統領は潔く敗戦を認めようといない。だが、いくつか不正の疑いで再選挙を訴えていた州裁判所では、その主張はすべて否認され、トランプ氏の申し出は認められなかった。

 それにしても民主主義のおひざ元とも見られているアメリカの大統領選の結果が、簡単には決まらす、選挙制度自体に問題ありとされることについては、アメリカ国民の民主精神もチェック機能も生かされていないと言わざるを得ない。

 ひとつには、制度自体に問題がある。民主主義を支えているのは、公正な選挙により多数の票を得た者が勝利を手中にする公平な制度である。その原則にも拘わらず、一般国民の1票が1票以下の投票に敗北する選挙人制度の導入が、民主主義のルールに反する結果を産み出している。選挙人によるその地区の総取り方式が、1票を1票以下にも1票以上にもしてしまう摩訶不思議な制度だからである。

 そしてもうひとつ問題なのは、今回の選挙を混乱に陥れたドナルド・トランプ氏個人の資質と性格である。普通の候補者なら獲得票が当選圏内から外れた場合、負けを素直に認めるが、トランプ氏はいつまでもイチャモンをつけて大統領職に縋り付いている異常な性格の持ち主だと言う点である。トランプ氏の極めて稀なる性格により、アメリカ国民の恥を世界中に晒した節もある。そのトランプ氏は一敗地に塗れたが、4年後の大統領選に再び立候補を目指しているとの噂がある。潔さがまったく感じられない落ち目のトランプ氏に果たして再び立候補のチャンスは訪れるだろうか。

 トランプ氏を倒して次の大統領に選出されたジョー・バイデン氏には、すでにオバマ大統領時に副大統領だった経験があるだけに、外交問題ではトランプ大統領のようなアメリカ第一主義を露骨に振り回して、一部の国を除き世界中を敵に回すようなことはないと思う。

 昨年8月、旧ソ連と1987年に締結した中距離核戦力(INF)廃棄条約を離脱し、昨年11月には、気候変動への国際的な取り組みを決めた2015年の「パリ協定」からの離脱を正式に国連に通告した。これにより、アメリカは世界で唯一、同協定に参加していない国となった。世界の孤児になったのである。バイデン氏はすでにこれら条約への復帰を表明しているが、綻びを直すのにも大変な努力と苦労を強いられると思う。国連も認めていない「イスラエルの首都・エルサレム」へ、アメリカだけがイスラエルに忖度してテルアビブから大使館を移し、エルサレムを首都と認めたひとり相撲を取った。一番気になるのは、外国の首脳から失った信頼感をどうやって取り戻すことが出来るかだろう。

 トランプ大統領は安倍前首相とは、妙に気が合って世界でも最も気の合う首脳同士と言われていたが、2人とも最高権力の座から去ることになった。その点では菅首相はトランプ大統領よりよほどバイデン大統領の方が取り組みやすいことだろう。しかし、バイデン氏も中々したたかな点があるようだから、噂だけに捉われず、真摯にかつ率直に日本の立場を主張することだ。

2020年12月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com