4951.2020年12月1日(火) 近鉄グループが火の車

 師走に入ったらやはり一段と寒くなったような気がする。寒くなったのは陽気ばかりではない。新型コロナウィルスによる今日の死者は41人、重症者493人の数は過去最多となった。今日菅首相と小池都知事が会談して、知事は「GO TO TRAVEL」に就いて停止を求めたようだが、首相は譲らず結局65歳以上の高齢者と基礎疾患がある人に自粛を要請するという結論になった。

 一方で、企業もコロナの影響を受け散々である。特に、飲食店業界が痛いパンチを食らっている。そこへ各自治体から深夜の営業自粛を要望されて青息吐息のようだ。観光に関しても、旅行すること自体が覚めた目で見られるようになった。当然観光業、特にそれを采配する旅行業にとって厳しいものとなっている。

 先月21日の本ブログに「過去最多のコロナ感染者と旅行会社への打撃」として、JTBを中心に、HISと近畿日本ツーリストの実情を取り上げたが、今日郵送されてきた月刊誌「選択」12月号を見ると「近鉄グループHD」の見出しに「『赤字膨張』で崩壊の瀬戸際」の副題が添えられて近鉄グループの営業実態について書かれている。これほど近鉄が鉄道業を主に追い詰められているとは寡聞にして知らなかった。JTBが上期決算で対前年国内旅行▲85%、海外旅行▲90.8%となり、来年度までに従業員を全体の6割に当たる約6,500人も削減する方針を打ち出したことが、旅行業界にショックを与えている。

 近畿日本ツーリストの実態は、JTBより大分深刻らしい。それは、親会社の近畿日本鉄道は私鉄業界の中でもトップクラスだったが、今年は最悪の決算となりそうで子会社はそのトバッチリを受けたせいもあるようだ。過日ある情報で近鉄が鉄道運賃の値上げを口にしたと知ったが、「選択」誌によれば、先日の決算発表の場で近鉄が運賃値上げに言及したことは事実のようである。しかし、各私鉄とも厳しい経営環境にありながら、どこも値上げに触れる私鉄はなかったという。それほど近鉄グループは、親会社である近鉄自体が経営悪化に苦しんでいるらしい。運輸事業は下期も回復の見込みがないと見られている。近鉄の子会社としてその恩恵を受けている近畿日本ツーリストが、親会社の経営が悪化しては、この先立ち直れるのか気になる。売上高は2018年度4,118億円だったが、今年度の予測では、1,400億円に沈む。問題の営業利益が、2017年度32億円だったが、今年度は▲250億円という大幅な赤字だから相当厳しい。海外パッケージの老舗「ホリディ」も市場から撤退するというから、ひところの羽振りの良さを知っている私には寂しい気がしている。

 とにかくコロナを1日も早く終息させることが先決であるが、いつまでも現状が続くようだと事業としての観光業は、消えてしまうのではないかと心配である。

2020年12月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com