4918.2020年10月29日(木) 戦場カメラマンの死から半世紀

 昨日は、カンボジアで取材中34歳の若さで亡くなった戦場カメラマン澤田教一の50年目の命日に当たる。

 1965年戦時下のベトナム・ロクチュアン村の名もない川で撮った「安全への逃避」という1枚の写真が、世界中に強烈なインパクトを与えた。母親が乳飲み子を左手に抱え、他に3人の子どもとともに川の中を必死に泳いで逃れようとする臨場感たっぷりの写真は、あまりにもショッキングで大きな反響を呼んだ。当時ベトナム反戦運動に参加していた人たちの中でも話題になった。翌年報道写真部門で最高の「ピュリッツアー賞」をはじめ、数々の名誉ある賞を受賞している。

 我々ベトナム反戦運動に参加していた者にとっては、岡村昭彦、本多勝一、開高健、小田実、小中陽太郎、石川文洋らと並んで印象に残っている人物のひとりである。3年前の8月、日本橋高島屋で開催された写真展「澤田教一展~その視線の先に」を見学した。その時買い求めた戦場の写真集「戦場カメラマン沢田教一の目」は豊富な写真に溢れ、今もベトナム戦争に想いを馳せるメモリーとして手元にある。ベトナム戦争は澤田が亡くなった5年後の1970年に終結した。

 1968年テト攻勢によりベトナム戦争は益々激しくなったが、その1年前に厳しいベトナム戦争中にサイゴン(現ホーチミン)を訪れ、戦争の恐ろしさを実感し、5年前には終戦40周年企画でベトナム国営テレビから取材を受けたこともある。やはりベトナム戦争との縁は切れない。それだけに何とも忘れられない戦争であり、澤田カメラマンは忘れられない人である。

 さて、新型コロナウィルスの影響があらゆる分野に及んでいる。一昨日全日空が今年度の予想決算を発表した。コロナの影響を受けて旅客が激減したことが想像を超える減収をもたらし、会社創立以来最大・最悪の赤字5,100億円を計上する見込みである。4月時点では、270億円程度の赤字と見込まれていたが、それ以上に予想を遥かに超える大幅な赤字決算となりそうである。

 観光業、交通業がとりわけ大きなコロナの波をかぶっているが、鉄道業も他人事ではなく、これまで安定基盤にあったJR各社、私鉄各社ともに厳しい経営を迫られているようだ。

 昨日発表されたJR各社の成績もぱっとしない。今年度JR東日本の最終予想営業損益は2,952億円の赤字、JT東海は同じく1,920億円の赤字であり、いずれも初めての赤字決算となる見通しである。その他西日本、九州、四国、北海道などのJR各社も赤字決算が予想されている。

 私鉄各社はどうかというと、まだ今年度の決算予想は公表されていないが、大手私鉄14社の第1四半期(6~9月)の実績を見てみると軒並み大きな赤字で、各私鉄の鉄道減収率は44~68%である。

 こんな時、全日空の年収3割減をはじめとして、各社が赤字補填のための秘策を検討している中で官公庁職員の所得には減給などの処置は取られないし、自治体などの公用車は相変わらず経費のかかる高級車を使用している。いくら襟を正すとか、時勢に鑑み、などときれいごとを言っても公務員にはお金を稼ぐことがどんなに厳しいものであるかということがまったく分かっていない証拠である。

2020年10月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com