4892.2020年10月3日(土) 年々肥大化する防衛費予算

 新型コロナウィルス対策に国をはじめ、各自治体が補助金を拠出しているが、先日財務省が公表した来年度一般会計予算の各省庁の概算要求額は、7年連続で百兆円を超えた。特に国の借金の返済に充てる国債費と防衛費がかなりの増額である。

 この中でとりわけ気になるのは、各省庁ともコロナ対策に備える点から予備費の計上が多いことと、防衛費の膨張である。特に、年々増額傾向の防衛費の要求は、ついに5.5兆円となり、かつて防衛費は国家予算総額の1%以内に抑える方針だったが、いつの間にやら青天井となった。自衛隊員が自然災害の都度災害自治体の支援要請により出動し、地域住民から感謝されているのは、今では国民一般に広く理解されているので、その点では感謝こそあれ反発はない。問題は憲法で軍備を持つことを禁じられているにも拘わらず、自衛隊の軍事整備品にかかる高額な経費である。最近はミサイル防衛関係費がかさんで、全体として防衛費を嵩上げしている。今年度に続き、来年度もロッキード社製ステルス戦闘機F35を6機購入する計画であるが、これが1機111億円という莫大な価格である。そこへ今年配備を取りやめたイージス・アショアの代替策が未定のため、それに金額を示さず「事項要求」などの術を使っている。

 一番の気がかりは、トランプ大統領の言いなりになって高い軍需品を購入させられていることと、駐留米軍の経費負担金の増額要求であり、これを安倍前首相は突っ張り切れなかったが、菅首相は両国が納得出来る負担経費で手を打つことが出来るとも思えない。

 アメリカの2019年度の国防予算は7,318億㌦(約80兆円)だったが、これでは苦しいからと海外の駐留経費を減額しようとして、結果的に駐留米軍が留まる国ではアメリカから負担増額の要求を突きつけられている。中国の今年度の国防予算は、アメリカに次いで多く、約2,611億㌦(約29兆円)である。因みに2019年度の世界各国の国防予算を探ってみると、1位のアメリカ、2位の中国の地位は揺るがず、この2カ国だけで世界の総国防費の半額を超える。3位以下は大分下がり、インド7.8兆円、ロシア7.1兆円、サウジアラビア6.8兆円、フランス5.5兆円、ドイツ5.4兆円、イギリス5.3兆円の順で、次いで日本が5.2兆円、そして日本の次に韓国が4.8兆円で続いている。日本が財政供出している国防費は世界の中でも9番目に多い。問題なのは、前記の通り日本は憲法上軍備を持たないと記されている。それに理由をこじつけながら自衛隊を抱え軍備を整えていること自体、明らかに憲法に違反している。その日本流こじつけの結果、憲法が認めない軍事費に世界でも9番目に多額の投入をしている。カナダやオーストラリアより遥かに多い国防費を支出しているのである。

 このまま防衛費の増額を野放しにして良いわけがない。これまでも憲法と自衛隊の関係について断片的な議論は交わされたが、国としてきちんとした結論を出していない。戦後75年が経過して戦争体験者が年々少なくなる時勢に、片手間ではない堅実な議論を行うべきではないかと思っている。

2020年10月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com