4861.2020年9月2日(水) 海外で気になる2つのニュース

 75年前の今日戦艦ミズーリ号上で日本は降伏文書に調印して、世界に対して公式に敗戦を認めた。その日本は、今では経済的に復興を遂げ世界で3番目の経済大国となった。そんな過去の厳しい史実を振り返ることもなく、今国内では次期自民党総裁、つまり次の総理大臣を選ぶ総裁選でメディアの話題が持ち切りである。その熱くなった頭を冷やすかのように今日午後都内で局地的なゲリラ豪雨があり、我が家の周辺も2時過ぎに激しい雨と同時に雷が鳴った。しばらくすると周囲は明るくなってきた。

 海外では11月に予定されているアメリカ大統領選の立候補者、トランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領が、黒人銃殺を巡り相手を罵倒するような激しい選挙戦を続けている。アメリカ大統領選史上稀に見る次元の低い争いは投票日まで続けられることだろう。

 今朝の新聞を見て驚いた海外の話題が2つある。ひとつは、混乱の最中にある香港のトップである林鄭月娥行政長官が、昨日香港には3権分立がないと発言したことである。つまり行政長官は、中国政府の意向を踏まえて香港政府の行政権が、司法や立法権に優先されるとの立場を示唆したのだ。かつては中国政府の権限が香港の3権よりも上にあると語った中国高官がいる。これでは従来から当然と受け取られている「1国2制度」が疑問に思えるではないか。同時にやはりそうなのかと中国政府の腹が分ったような気がした。それではなぜ香港市民でもある林鄭月娥長官は、このような香港市民にとって極めて不利な発言を軽々にしたのだろうか。

 そもそも香港の行政長官は、香港内で行われた選挙によって選ばれたとは言え、実質的には中国政府によって恣意的に選任されたようなものだ。2017年の行政長官選に遡る14年に、中国全人代が行政長官選への立候補者は、親中派の香港指名委員会の過半数の支持が必要で2~3人に限定すると決定された。しかも市民による自由投票ではなく、僅か1,200人の中国びいきの選挙委員によって決まる。その後に中国国務院の任命が必要とされている。他にもいくつか非民主的な条件がある。こうした中国政府の関門を潜り抜けて行政長官になった人物は、当然の如く完全無欠の親中派長官である。それが林鄭月娥行政長官である。しかし、地元民の行政長官がここまで地元市民の自由、民主化を否定する発言の必要があるのだろうか。それは有無を言わさず中国政府に言わされているからである。

 もうひとつ驚いたニュースは、南太平洋の小さな島国バヌアツが国として自国の国籍を外国人に売却しているという、これまで聞いたこともないような情報である。バヌアツは人口も高々30万人程度で、岩手県盛岡市や福岡県久留米市と同規模である。観光業、漁業以外にこれという収入がない。80ほどの小島から成り、透明な海でスキューバ・ダイヴィングを楽しむために外国から多くの若者が訪れる。国籍購入者の多くは、近年港湾施設などの大型インフラ施設の建設支援を通じて存在感と影響力を増している中国人である。1人約1,400万円の申請料を支払えば、犯罪歴などをチェックした後バヌアツ国籍が付与される。同国に居住する義務もないというが、住民税他の公的負担費用はどうなるのだろう。この制度によって昨年は、当初の予算額の1.9倍に当たる115億円の財政収入があった。しかし、こんないびつな方法で国家財政を豊かにしたところで問題がないのだろうか。国家が外国人に金銭で国籍を与えて将来的に彼らが国の指導者になった場合に禍根を残すことはないのだろうか。「庇を貸して母屋を取られる」の悪い前例にならなければ良いがと少々気になるニュースである。

2020年9月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com