4857.2020年8月29日(土) 朝日「素粒子」は何を考えているのか?

 黒人の暴力による死傷事件が相次いているアメリカで、昨日は黒人の差別解消を訴えたマーチン・ルーサー・キング牧師が、首都ワシントンのリンカーン記念堂前で‘I Have A Dream’と全米中に格調高いスピーチを行ってから57年が経つ。その翌年ノーベル平和賞を受賞したが、68年白人男性に射殺された。39歳だった。残念ながら、キング師の夢は今も実現する気配すら見えない。ウィスコンシン州では白人警官による黒人への銃撃に対して起きた抗議デモ隊に対して、17歳の少年が自警団と称しながら彼らに発砲して2人を死亡させた。黒人差別の根は深い。そもそも17歳の少年が拳銃を持って自警団に加わっていること自体異常である。

 アメリカで銃による殺害事件が減らないのは、市民が誰でも自己防衛のためと言って許可さえ得れば銃を所持出来るからである。銃所持を規制する法律はあるが、どうもザル法に思えて仕方がない。国会議員と銃砲製造者との結びつきが強く、多額の献金を受けた政治家が銃規制に後ろ向きだからである。黒人差別の前に銃規制を徹底すべきではないかと思う。加えてトランプ大統領には、黒人への差別感が強いように思える。人種差別が大きな国内事件となっている国は、アメリカが唯一最大と言っても好いだろう。

 ところで、昨日の朝日夕刊「素粒子」欄に次のようなコラムが掲載された。「彼女らの訴えに共鳴する」として「大坂なおみ選手、香港の周庭氏、森友改竄の赤木雅子氏」。周庭氏の長年の民主化運動に対する評価は当然であり、赤木氏の安倍政権の公文書改ざんと亡くなった夫の死の真相を明らかにすべきとの訴訟も理解出来る。だが、大坂なおみ選手の場合はどうか。実は、一昨日の本ブログに、黒人差別に抗議して全米テニスの前哨戦の準決勝まで勝ち上がりながら、テニス選手である前に自分も黒人であると抗議の姿勢を示して試合をボイコットしたことについて、それまでテニス選手としてしか見ていなかった大坂選手を見直したと書いた。確かに強いパンチとはなったが、翌日にはボイコット宣言を簡単に引っ込めて準決勝へ出場すると君子豹変してしまったのである。

 気持ちが変わった裏に一体何があったのか? 周囲のテニス関係者からの説得があったとみられているが、大砲を一発打っておきながら簡単に初志を撤回するようなら、初めからやるべきではない。世の中を甘く見ているのではないか。ボイコット宣言をした時はよくぞやったと拍手した人々も呆気に取られて、今後大坂選手の言動を信用しなくなるのではないか。

 何よりも黒人差別に対する反対デモへ共鳴する気持ちを世間へアピールした筈であった。本人にもその気持ちが強かったものと思う。しかし、一の矢に続く、二の矢が折れるというより二の矢を引っ込めるようでは、差別への反対の気持ちが本当にあるのかどうか、信用出来ない。同じように反対を叫んで試合をボイコットした野球のMJBとバスケットの NBAは試合が延期された。悪く言うなら、大坂選手は人目を意識して自分へ目が向けられることを期待していたのではないかと勘繰らざるを得ない。ブログには「彼女をテニス・オンリーの選手だと思っていたので、改めて見直した次第である」と結んだが、取り消してやはり単にテニスに長けている選手であることを再確認したとでも書き直したいと考えている。

 それにしても天下の朝日新聞は、もう少しよく考察して欲しいものである。

2020年8月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com