4837.2020年8月9日(日) 「長崎の鐘」の気持ちは伝わっているか。

 3日前に広島で「原爆の日」があったばかりだが、今日は長崎へ原爆が投下された日である。長崎市内でも「原爆の日」を迎えて恒例の「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が行われた。広島同様に、出席者は新型コロナウィルスの影響で例年の1割程度の5百人に限定された。田上富久市長は、核兵器使用の脅威が現実のものとなっているとして危機感を表明し、政府に実行性のある核軍縮の道筋を示すよう求めた。被爆者の手帳を引用して原爆投下後の惨状を訴え、アメリカやロシアなど核保有国を念頭に、「核軍縮を反故にする動きが強まって来た」とも批判した。今日は、藤山一郎さんが唄ったサトウハチロー作詞、古関裕而作曲「長崎の鐘」の2015年のビデオ録画を観て改めてこの曲の良さを噛み締めた。

 間もなく15日にはもうひとつのエポック・メークである終戦記念日を迎えることになる。まだ国民学校へ入学したばかりの夏休みで意識はしていなかったが、その日からしでも75年が経過する。

 核兵器開発戦争が激しくなり、世界各国で局地戦争が絶えない一方で、戦争反対、核兵器開発禁止の動きも少しずつ勢いを見せている。

 核保有国と異なり、日本では唯一の核被爆国として悲惨な戦禍を被りながら保守的な勢力は、憲法改正を目論見つつ、最近になって「敵基地攻撃能力」なるものを提言している。これは、過日地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配置計画の撤回と帳尻合わせだとの河野防衛相の発言と同時に、防衛省幹部が言い出したもので「相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力の保持」を意味する。敵の基地を攻撃できる能力を持つことである。提言を見ると「憲法の範囲内で国際法を遵守しつつ、専守防衛の考えの下」「自衛のために必要最小限のものに限る」と但し書きされているが、他国への攻撃を目的にしていることは憲法第9条や、国際法、更に専守防衛や必要最小限度からの逸脱であり許されるべきではないと思う。

 日本世論調査会の全国郵送世論調査では、自衛隊は専守防衛を厳守すべきだと答えた人が76%に上るそうだ。安倍首相は国の使命は国民の命と平和な暮らしを守り抜くことだとことあるごとに述べているが、些か軍備強化と憲法の拡大解釈に前のめりである。政府は、攻撃能力保有に関する議論については、中国や北朝鮮の戦略や、アメリカとの同盟関係などを考慮した総合的な抑止、防衛戦略を踏まえた議論がやや不足している。

 これまで日米同盟の下ではアメリカを矛、日本を盾とする戦略を描いてきた。それに対して日本が矛を手にするようなら、当然のことながらアメリカとはもっと綿密に話し合うことが必要ではないだろうか。

2020年8月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com