4792.2020年6月25日(木) 70年前の今日、朝鮮動乱始まる。

 今から70年前の1950年の今日北朝鮮軍が韓国へ侵入して朝鮮動乱が始まった。折も折、朝鮮半島ではその北朝鮮と韓国の間に怪しい風が吹いている。当時千葉・幕張の小学6年生だったが、ラジオと新聞でそのニュースを知り、教室では担任の湯浅和先生がしばしばその戦争の話をしてくれた。そのせいかクラスの男子生徒は皆朝鮮戦争に興味を持った。テレビがなかった当時、映画館で観るニュースは朝鮮戦争の場面が多く、李承晩大統領の名前をはじめ、韓国各都市の地名を自然に現地の呼び方で覚えたくらいである。動乱2か月後、自衛隊の前身・警察予備隊が発足した。北朝鮮軍52万人、韓国軍13万7千人、アメリカ軍3万7千人の犠牲者を出して3年後、京都市立中学3年時の夏休みに休戦となり今日に至っている。終戦ではない。

 そしてその中学3年生の時の授業で、社会科の棚橋先生が、唐突に今敵国が日本に攻め込んできたら日本はどうしたら良いと思うかと質問なさった。私も含めて友だちは皆日本に軍隊がいないのに迎え撃って反撃すると応えた。その時先生は、軍隊なんか必要ない。占領されたらされたでそのまま抵抗しない方が、犠牲者も被害もなくて良いと言われたのには子ども心にびっくりしたものである。ちょうど前年に警察予備隊が保安隊となり、更に2年後の54年にその保安隊が自衛隊と改称され、軍隊の形を整えつつあった。もちろん当時はまったく考えもしなかったが、今思えば、棚橋先生は戦争にも、軍隊にも反対だったのだと思う。

 その自衛隊も今では陸海空合せて総兵力24万7千人を抱える大「軍隊」になり、自衛隊員の数こそ、アメリカ、中国、インド、ロシア、韓国にひけは取るが、年間軍事費は、フランス、ロシア、ドイツ、韓国を上回る。今イージス・アショアの配備停止が話題になっていて無駄な投資費用も目立っている。加えて、安倍首相は来年秋の在任期間中に何とか憲法改定に目鼻をつけようと虎視眈々である。今や日本は憲法第9条で軍備を放棄しているにも拘わらず、軍事大国になっている。それを首相は縦の物を横にして憲法違反を冒してでも軍隊を整備したいと考えている。

 さて、昨日の朝日新聞に新型コロナウィルスの影響が観光業界、特にインバウンドが打撃を受けたことについて、東洋文化研究者として知られるアレックス・カー氏が寄稿している。旅行事情に精通しているカー氏らしい相変わらずの卓見に納得させられた。彼は、日本の観光業界が外国人の受け入れ態勢が充分整備されない中で、不意に襲ったコロナは、日本の観光業界に巣食っている「毒」を抜く良い機会であると述べている。「毒」とは厳しい用語だが、今世界中の観光都市で懸念されているオーバーツーリズム(観光公害)を指しており、都市の受け入れ許容量以上に訪れる観光客がその都市にカオス状態をもたらし、本当の意味で日本文化を味わうことが出来ない状態にしていると心配されている。日本ではオーバーツーリズムに対する対策が遅れていると指摘している。

 寡聞にして知らなかったが、京都・二条城の襖絵を劣化から守るため複製に差し替えられているようだが、これでは外国人に本当の日本文化を理解してもらえないとも懸念している。偶々昨晩BS朝日番組「京都ぶらり歴史探訪特別企画!厳選の古都」で、この襖絵を素晴らしい作品として複製云々には言及せずに紹介していたが、確かにこのまま手を打たなければ日本人にも本物の日本文化が分からなくなっていくのではないかと、インバウンドとは別の視点からも気がかりである。まさに「毒」である。

2020年6月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com