4774.2020年6月7日(日) 香港問題で中国非難に背を向ける政府

 中国政府の香港への国家安全法制の導入を巡っては、ロシアと北朝鮮が理解を示した以外ほとんどの国が中国を非難している。日本政府も全人代で法案が採択された直後に中国に対して批判的なコメントを発した。

 ところが、アメリカ、イギリスなどが中国を厳しく批判する共同声明を発表するに際して、日本も参加を打診されたが、これを日本政府が拒否していたことが明かされた。このことは何を意味しているのだろうか。国家安全法制は香港市民を中国の管理下に追い込む、返還協定「1国2制度」を無視する悪法であることは明確である。それ故日本政府も当初は中国政府を批判した。それにも拘わらず、この度英米からの要請には同意しなかった。これでは日本はロシア、北朝鮮と同じく中国が香港に強いる1国1制度を容認し、香港市民の自由を奪う強権を受け入れることである。どこで君子豹変したのだろうか。ネットのニュース解説を読むと、現在コロナウィルスの感染拡大で見送られている中国の習近平・国家主席の国賓としての訪日実現に向けて、中国政府を刺激しないよう配慮したからだと理解されている。こんなバカなことがあろうか。香港に中国の国家保全法制を導入することと、習近平主席の訪日とどちらが重要であるか、考えなくてもわかる筈である。どうも昨今の安倍政権は脱線が多い。

 対中外交は重要な政治課題であり、中国にとってもそれは同じことである。同時に対中国外交は世界各国にとっても重要課題であり、日本のそれは世界中から注目されている。その中で中国政府の自由への介入、妨害行為を容認することは国際外交上もマイナス面が多過ぎると思う。これは当然日本国民からも理解されないだろう。

 では、なぜこのような二枚舌とも受け取られかねない行動を日本政府は取ったのだろうか。一昨日北朝鮮拉致被害者、横田めぐみさんの父親が87歳で亡くなられた。この訃報に接して安倍首相は苦しい胸の内を語っていたが、首相は内閣の最重要課題は拉致問題解決であると常日頃から広言していた。結果的に拉致問題は2002年に5人が北朝鮮から帰って以来一向に前進していない。ロシアとの北方4島問題にしても、一時は好感触で受け取られていた。しかし、この北方問題も解決から遠ざかるばかりで、安倍首相としては歴代首相の中で最長在任を誇りながらほとんどこれという実績が見られない。政権の黄昏時を迎えている安倍首相はこれに焦りを感じて、習近平・国家主席の訪日を実現したことを手土産にしたかったのではないかと邪推したくなる。

 それにしても外交を一時の都合で変えてしまうとは、何たる無節操であろうか。安倍政権の余命も尽きたと言わざるを得ない。

2020年6月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com