4770.2020年6月3日(水) 遺産相続の第一歩

 かねてより自分の年齢を考え、大したものではないが、死後の財産相続についてある程度整理し道筋をつけておいた方が良いと考えていた。2月ごろからある銀行と本格的に話し合いを始めてはいたが、コロナウィルス旋風のため自粛していた。それが、緊急事態解除と「東京アラート」発動の間隙を縫って、今日銀行の担当者に自宅へ来ていただき話を詰めた。長男は奈良に住み、次男は横浜に住んでいるが、これまで相続について真剣に話し合ったことはない。妻と私が亡くなった場合の2つのケースの財産分与について、銀行にはパターン化された商品があり、それに加入することにした。基本的には2人の息子に等分に相続される。各地の旧居住地の戸籍謄本取得などの手続きは銀行が代行してくれる。これで息子たちも、我々両親の死後あまり悩むこともなく無駄なく相続出来る。いずれ近いうちに息子たちとも具体的に話そうと思っている。

 さて、今夕の朝日新聞に10年前に亡くなられた民族学者・梅棹忠夫先生が著されたベストセラー書「知的生産の技術」が取り上げられている。その中で私も半世紀近く会員である「知的生産の技術研究会」(知研)についても触れられ、知研会合の写真には八木哲郎会長のお顔も見える。最近知研へはすっかりご無沙汰しているが、懐かしく感じた。定期的な旬刊誌に八木会長から寄稿を催促されているが、現在取り掛かっている拙著が一段落したら寄稿するとご返事してお待ちいただいている。梅棹先生が1969年に出版された「知的生産の技術」は、「文明の生態史観」と並んで、私の知的好奇心を刺激してくれ、今も座右の書である。

 それにしても「知的生産の技術」は、学生を中心に若者層に好まれ大ヒット書となった。増刷に増刷を重ねて実に100刷、販売は145万部だというから驚異的である。今では本の販売数が年々減少して、出版社も書店も閉店しつつある現状では、夢のような話になってしまった。あのような好奇心をそそる書物を手がかりに、勉強好きな若者が寄り集まって勉強会を開いて切磋琢磨した向上心溢れた時代は、残念ながら今では遠ざかってしまったような気がしている。

 さて、この1週間アメリカが荒れている。きっかけは27日ミネアポリスでひとりの黒人男性が、警官に拘束された際地面に頭を押さえつけられ、死亡した事件である。これが黒人蔑視と差別行為と見做され、怒った黒人たちが警察に対してデモをかけ、それが全米中に拡大したことである。これに対してトランプ大統領がいつもの通り冷静さを欠いて、デモ隊と話し合おうとの気持ちがなく彼らを排除しようとして警官隊を煽るように弾圧に向けている。首都郊外には連邦陸軍まで待機させている。ここ数日はアメリカ全土に抗議の声が広がり、一部は暴徒化して、ついに首都ワシントンでもホワイトハウスを取り巻いてデモ隊がシュプレヒコールを上げている。

 これには民主党大統領候補にほぼ決まっているバイデン前副大統領が、「我々の国を怒りと恐怖で引き裂かれた戦場へと変えた」と厳しくトランプ大統領を非難した。中国に対して民主的な自治が行われていないと厳しく批判していた大統領が、国内では自らが自治を壊している有様である。大統領就任直後から常識外れの大統領だと思っていたが、益々エスカレートしている。アメリカ国民にとっても恥ずべき大統領には、もうそろそろ愛想尽かしをしても好いのではないだろうか。

2020年6月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com