4767.2020年5月31日(日) トランプ大統領の狂気の沙汰

 朝刊を手に取るやトップ記事「トランプ氏『WHO脱退』」の大見出しが目に入って来た。かねがねトランプ大統領は中国が当初新型コロナウィルスの感染拡大を隠蔽していたと主張していたが、その背景にWHOの中国への忖度があったと指摘し、その一方でWHOの年間予算額の1割以上を支出しているアメリカには正しい情報が伝えられず、そのためアメリカが世界最大のコロナ感染国になったとも非難していた。更に、中国が香港への国家安全法制を導入することを決定したことに対して、「香港には最早自治はない。中国は1国2制度を1国1制度に置き換えた」と批判した。

 WHOにとってはつい最近までは思っても見なかったことであるが、今年1月にWHOがパンデミック宣言をした辺りから、アメリカが中国寄りだと厳しくWHOをやり玉に挙げるようになり、2週間前にはWHOは中国の操り人形だとまで言い出し、その発言に苦慮していたようだ。実際WHOは予算の11%をアメリカに頼っており、仮にアメリカから拠出されなくなったらWHOにとっては活動を制約され、組織の信頼が揺らぐことになる。それにしてもトランプ大統領は、思いついたら直ちに行動を起こすが、周囲への影響をまったく考えない点で問題である。トランプ氏の行動には、11月の大統領選へ向けた皮算用がある。世論調査に依れば、現状では大統領選でライバルのバイデン氏の後塵を拝している。

 香港問題では、トランプ大統領はアメリカ・中国貿易の中継地となっている香港の優遇措置を見直すと語った。香港からアメリカへの輸出は約4兆2千億円あるが、その77%は中国本土から香港を経由してアメリカへ輸出されるものであり、それら輸出品はすでに中国に対する制裁関税の対象になっているようで新たな打撃とはならないようだ。加えて、現在香港にはアメリカ企業1,300社が拠点を構えていてそれら企業への負担が大きいと予想される。

 中国の香港への国家安全法制の導入は、厳しく非難されるべきであるが、その一方でトランプ大統領も「アメリカ・ファースト!トランプ・ファースト!」を声高に叫んでいるが、ステップダウンさせて、もう少し周囲への影響を考えた行動を起こさないと、アメリカも自らも世界中の笑い者になることを知るべきだ。

 朝日新聞アメリカ総局長が、「冷戦とすら呼べない米中の茶番」と言い、「人類共通の敵に結束して立ち向かう力も気概もない大国同士がいがみあう茶番劇は、陳腐な冷戦とでも呼ぶべきか」と吐き捨てている。さもありなんと思う。

2020年5月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com