4719.2020年4月13日(月) 日本共産党が中国を見放した。

 今年1月に開かれた第28回日本共産党大会で、16年ぶりに党綱領の改定がなされた。内外から注目されたのは、中国に対する規定削除で、これまで中国については「社会主義を目指す新しい探求が開始され・・・21世紀の世界史の重要な流れのひとつ」と評価され規定されていた。それが、近年人権侵害、東シナ海や南シナ海での大国主義・覇権主義的な行動、核兵器に逆行する姿勢等々、この10年余の間に現れた中国の変化と現状から下した結論だった。その裏には中国共産党が日本共産党に向けた理不尽で横暴な対応があったと言われている。具体的には、2016年アジア政党国際会議総会で、中国を含めて全員一致で総会宣言に「核兵器禁止条約の交渉開始」を盛り込むことが決まったにも拘わらず、採択直前になって中国共産党代表団が強硬に削除を求めて無理やり削除したことがあった。中国国内における核開発、核実験をどうしても止めることが出来なかったからである。話し合いを求めた日本共産党に対して中国は激怒して屈辱的な言葉まで述べたという。その翌年には、日本共産党大会決議で「中国に大国主義・覇権主義の誤りが表れている」と指摘したところ、当時の程永華・駐日大使が該当部分の削除を要求したうえで、「中国への批判は右翼が喜ぶだけ」と捨て台詞のような言葉をぶつけたという。この傲慢さには、日本共産党ならずとも手を切りたくなるだろう。

 保守的な読売新聞は、志位委員長は中国の東・南シナ海での強引な海洋進出や、香港や新疆ウイグル自治区での人権侵害などを踏まえた見直しだと説明し、中国の習近平政権の振る舞いは「共産党の名に値しない」と述べたことに、日本共産党は国民から中国共産党と結びつけられ、党のイメージが悪化することへの警戒感が背景にあるだろうと論評していた。

 こうして日本共産党は、中国に対して社会主義である限り長い目で見れば、謝りは克服されると期待していたが、裏目に出てむしろ「対外的に覇権主義の行動を取るものは、その国内でも社会主義を目指すと判断する根拠はなくなる」として中国に対する見方を変えることにした。

 ところで、現在最後の仕上げに入っている次のドキュメント作品に「旧ソ連、中国は真の社会主義国家か?」という1項がある。その中でいくつか中国流社会主義の問題点を挙げている。そのひとつに中国革命により新中国創建以来強権を発動して6千万人の中国国民を殺害して権力を手放さなかった毛沢東の強い権力欲と私利私欲が、リーダーとして不向きで国を間違った方向へ導いたと断罪した。更に建国後1度も普通選挙を実施せず、国民の声を吸い上げず「言論の自由」を認めない封建制度についても批判している。言い出せばキリがないほど今日の中国には非社会主義的問題が山積している。

 同じ拙著に「社会主義国家キューバの誕生」として取り上げたキューバの社会主義国家の方が、中国に比べて遥かに国民から愛され国家として発展し、万民福祉国家を建設しつつあると言える。それは独裁者の毛沢東より革命家フィデル・カストロや、チェ・ゲバラの方がずっと国民から敬愛され、私利私欲と権力欲がなかったからである。

2020年4月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com