昨日の本項に中国の密漁船について書いたところだが、夕方のニュースでその中国と日本の首脳会談が実現する見通しとなったことが伝えられた。日中首脳会談が実現すれば、実に2年半ぶりの慶事である。但し、これまで実現しなかっただけに、滞りなく2人の首脳が顔を合せるには、まだまだ問題点が多い。
今回漸く薄日が差してきたのは、これまで中国側が頑なに過去の歴史問題を持ち出していたからである。加えて沖縄・尖閣諸島問題と安倍首相の靖国参拝があった。尖閣諸島問題では領土問題は存在しないとする日本に対して、中国は現実に問題があると持論を繰り返してきた。それが今回は双方に異見があるということをお互いに認識するということでひとまず手打ちをすることになった。もうひとつの首相の靖国参拝はどう話がついたのか、今のところ伝えられていない。
日中が縒りを戻すと反日の韓国にとってははぐれ狼に成りかねず、心中穏やかではないようだ。日本にとって日中間の心中穏やかでない事件は、冒頭の中国密漁船が台風で一旦小笠原諸島海域を離れていたが、台風が去るや再び日本領海内に侵入し、密漁に関わろうとしていることである。中国当局は事態を憂慮し、日中両国で適正に対応したいなどと自ら播いた種を自力で摘み取ろうとの姿勢を見せることもなく、実に真剣味に欠ける発言をしている。どうも悪いことをやっても外国に対してなら善しとしているようにも受け取れる。こんな気持ちでは、いくら首脳会談をやっても意味がないのではないかとつい悲観的にならざるを得ない。
さて、予想通りと言うべきであろうか、九州電力川内原発の再稼働を推進する陳情を鹿児島県議会が賛成多数で採決した。続いて伊藤知事も再稼働に同意すると述べた。原発立地自治体の薩摩川内市では市議会と市長はすでに同意している。これで住民の声としては一応原発再稼働賛成の一本にまとめられたことになる。原発城下町としては、他に選択肢がなかったと思う。万一を懸念する市民にとっては、忍びがたい決定だろうが、武士は食わねど高楊枝というわけにはいかないようだ。直接原発被害を蒙ったことがない住民の感覚からすれば、敢えて辛く厳しい生活を選択するよりうまく行けば事故に遭遇しない可能性に賭けて、楽な生活を選んだことになるのだろうか。
一方で昨日栃木県塩谷村では、廃棄物処理場を村内の国有地に設けることを国が決めたことに対して塩谷村長が、福島で出したゴミは福島県内で処分するよう国へ申し入れると語った。一度事故を起こせば、これほど苛酷な選択をせざるを得ないことを、果たして薩摩川内市の住民は考えたことがあるだろうか。だが、そう言う我々だって川内市民を問い詰めることはできない。
生活が大事か、安全が大切か、誰も当事者になって初めて苦渋の選択に直面することになるのだ。