4647.2020年2月1日(土) コロナウィルスにWHOが緊急事態宣言

 中国・武漢市で発症した新型コロナウィルスの流行と感染が収まるどころか益々拡大して、各国とも国としての対応が注目される事態になっている。日本からはすでに武漢在住者を帰国させるために3機の政府チャーター便が派遣された。帰国した人々の中にも一時的に病院や国営の施設に隔離されている人もいるが、その中から発症者が現れた。武漢から来た団体のバス・ドライバーとガイドが感染して「ヒト・ヒト感染」も現実に現れ、国内の感染者もすでに20人になった。政府は、感染者から「ヒト・ヒト感染」による2次感染から守るため水際作戦として、2週間内に武漢市のある湖北省に滞在していた外国人と、湖北省発行の旅券を所持する中国人は当分の間日本入国を拒否すると発表した。

 今回の騒ぎで注目されるのは、スイスに本部がある世界保健機関(WHO)の遅い対応、緊急事態宣言の発表である。中国側の資料と説明が充分でなかったにせよ、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言が、今か今かと待たれる中で昨日になって漸く発せられた。宣言が発せられる前にしびれを切らしたアメリカ、オーストラリアなどは、日本同様に中国からの入国を拒否すると発表した。宣言が遅れたのは、テドロス・アダノムWHO事務局長が過大に中国の内情に忖度して、直前に中国を訪問し、習近平・国家主席や王毅外相らに会って中国の対応を称賛する猿芝居を演じていたからだとも伝えられている。

 それにしてもどうしてこれほどWHOは中国に気を遣わなければならないのか。そもそもテドロス氏がWHO事務局長に推薦されたのも、中国から強く推されたからだと噂されている。加えて中国がアフリカ諸国の社会的基盤のインフラ整備に多額の援助をしているが、エチオピアの高速鉄道建設は中国の多額の投資によって完成した。そのエチオピアの外相がテドロス局長だった。しかし、疾風のように荒れたウィルス旋風をそのままにしておけず、やっとテドロス局長は背中で中国へ詫びつつ、国際的には今やこの宣言を受けて対策に注力して欲しいと面従腹背しているようでもあった。

 この宣言が出たのが、やや遅きに失したとの声が各国から出て来るであろう。WHOの対応の遅れで更に被害が拡大するなら、WHO存在の意味を問われるだろうし、その責任も追及されるだろう。その点ではテドロス局長も責任を免れまい。かつてWHOはエボラ出血熱の際にも緊急事態宣言の判断が遅れて国際的批判を浴びた過去がある。中国側のこの騒動が経済活動の影響を及ぼすとの考えから、中国の意を汲み取ったWHOがぎりぎりまで判断を待ったとの印象が拭えない。人間の生命に関わる事象に忖度が過ぎて犠牲者が膨らんだということにでもならなければ良いのだが・・・。

2020年2月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com