国会には唐突に解散風が吹き出した。まさかと思っていたが、絶対多数を占める自民党内から解散の声が上がって来たというから少々理解に苦しむ。今の自民党政権は多数派与党であり、安定政権と呼んでもいい。それ故自分たちの政策を推し進めようとすれば、筋さえ通れば成案にそれほどの問題はない筈である。今総選挙を実施しても野党に政権を手渡すことはないにしても、議席数を減少させることは確実である。それを実施しようというのだから、そこにはそれなりの理由がある。
今までほとんど目にしたことがなかったが、急に目立ち出した四文字熟語「常在戦場」が自民党有力議員の誰の口からもすらすらと出てくる。相当派閥などのグループで解散が語られたせいに違いない。だが、総選挙を実施されると公示と同時にお役所仕事はストップし、1千億円近い国費が消費される。それを敢えてやろうというのである。
しかも、安倍首相がアジア太平洋協力会議(APEC)へ出かけ、その後東南アジア諸国連合(ASEAN)閣僚会議へ出席のため昨日からビルマを訪れている。帰国は17日でアジア諸国訪問の最中に突然夜空に打ち上げられた花火のようなものである。それが首相の留守の間にきな臭い話に尾ひれが付いて、解散は既定路線のように考えられているようだ。実際12月の総選挙を見越してすでに選挙宣伝用のレンタカーも大分予約が入っていると聞く。
仮に総選挙を行うとすれば、一昨年の総選挙の際国民に約束したマニフェスト、選挙公約はどうなるのか。この辺りに自民党が解散を考えている裏の策略がありそうだ。つまり、約束したことが残りの2年間では実行できそうもないと考えたのではあるまいか。特に自分たちに最も身近な政治・行政改革のイの一番に挙げた議員定数の削減は、「必ず断行します」とマニフェストで公約した。これなぞまったく手を付けていないではないか。結局自分たちに都合の良いように動き回っているだけではないだろうか。
17日に首相が帰国してどんな筋の通る私案を言うのか、期して待ちたいと思う。
さて、今朝の新聞で知ったことであるが、就職活動を行っている大学生に対して、採用試験を行う側の会社が受験生から受験料をいただこうというぶったまげるような話がある。まるで大学受験と同じではないか。エゲツナイ奇想天外の入社試験をやろうという会社は、動画投稿サイトを運営する「ドワンゴ」という会社で、昨年も受験料を徴収して厚労省から「報酬」にあたるとして行政指導を受けている。こんな露骨な要求を自社に入社しようとする学生に求めるとは世知辛い世の中になったものである。尤もこんな会社は学生サイドの方から忌避すれば良いと思うのだが・・・。