4644.2020年1月29日(水) 世界遺産の天皇陵墓はなぜ一般公開されないのか。

 このところトップ・ニュースは中国・武漢市の新型コロナ・ウィルス感染の話題である。昨晩日本政府のチャーター機第1便が武漢へ飛び、今日206名の日本人とともに日本へ戻ってきた。その中に感染者がいるのかどうかはまだ分からないが、発熱症状のある12人が都内の病院へ入院した。今夜チャーター機第2便が武漢市へ向かった。

 中国当局が発表したところによると、本日現在死者は132人となった。感染者は5,974人となり、2003年に流行したSARSの5,327人をすでに上回っている。当初はあまり深刻視されていなかったが、連日の発症者に中国当局も慌てだした感がある。日本国内でも中国からやって来た4人の感染者がいたが、昨日初めて日本人の発症者が報告された。これまでに中国を訪れたことがない観光バスのドライバーである。今月中旬に2度に亘って武漢市からやって来た観光客を乗せて2泊3日間同一行動していたという。そして今日になって同じバスのガイドも感染と分かった。気の毒と言えば、気の毒である。不運だったとしか言いようがない。

 1日1日感染者が増えているが、いつ終息に向かうのだろうか。当分の間メディアで話題になるだろう。

 さて、かねてより不審に思っていた歴代天皇陵墓の一般公開に関して、昨年12月大阪歴史博物館でその是非についてシンポジウム「文化財としての『陵墓』と世界遺産」が開かれていたことが分かった。公開が一部に限定して行われてから40年が経つが、全面的な公開には至っておらず、発掘調査も行われず学術的な研究も停滞している。陵墓を管理している宮内庁が、陵墓を「神話」扱いにして陵墓の発掘調査自体に否定的であることが、学術調査や一般公開が進まない大きな支障となっている。昨年世界遺産に登録された「百舌鳥・古市古墳群」では、仁徳天皇陵の被葬者をめぐって複数の説がある。高校では国内最大の前方後円墳は仁徳陵と学んだが、疑念が出て確実な被葬者を特定するためには、発掘調査が欠かせない。しかし、宮内庁は神話の世界への立ち入りを認めず、果たしてこの世界遺産となっている古墳が本当に仁徳天皇陵であるとの結論が出せない状態である。そうなると誰の陵だか分からない。現状のままだといつまで経っても真実は解明されないだろう。

 世界各地の世界遺産を訪ねても、こんなに堅くガードして一般人の立ち入りを認めない世界遺産はない。世界遺産第1号となった、ナイル川に面したアブ・シンベル神殿には偉大なラムセス2世を祀った像があるが、足元まで近づくことができる。イエス・キリストが生まれた元厩だったベツレヘムの聖誕教会にも何の制限もなく近づける。宮内庁には、卑しくも平民どもが天皇のひざ元へ寄ることなぞ恐れ多いとの、戦前からの差別感と天皇絶対観のような思い上がりがあるのではないだろうか。僭越だが、敢えて言わせてもらえば、宮内庁には天皇、皇族らのお世話だけお任せすれば良いのではないだろうか。陵墓のような歴史的資産は宮内庁から、文化庁のような文化と縁のある官庁へ管理を移譲した方が、公平で国民にとって納得出来るものと思う。

 さすれば、陵墓の学術調査によってその真実も解析されるものと思う。仁徳天皇陵であるとの確実な証拠もないまま世界遺産として登録しているのは、国際的、かつ学術的観点から考えてもちょっとおかしいと思う。

2020年1月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com