4640.2020年1月25日(土) 益々加速する出版不況

 出版不況が言われて久しいが、昨日出版科学研究所が発表したところによると2019年の出版市場としてはプラス成長だった。半信半疑でよく記事を読んでみると電子出版が前年度に比較して0.2%の微増だった。どうも確信が持てないので、更に読んでいくと電子出版の約8割を占めるコミックが29.8%も増えたのが、全体を押し上げたという。それでいて紙の出版物は、対前年4.3%も減ったという。残念なことだが、書籍の出版が近年減少傾向にあることはよく知られている。出版関係では、旬間業界誌の「出版ニュース」を発行していた出版ニュース社が廃業すると同社社長から連絡があった。5年前拙著「南太平洋の剛腕投手」について小中陽太郎氏が同誌に2頁に亘って書評を書いていただいた。書籍の発行は今ではじり貧状態で、確実に減少に向かっている。

 出版科学研究所の報告では、昨年になって出版業界が盛り返してきたような印象を受けたが、結局のところ何の変わり映えもなかった。コミックの電子版の伸びにより出版市況が蘇ったような発表だが、もっと混乱しないすっきりした発表方法を考えてもらいたい。大体コミックなんて読んだところで読書とは言えないのではないだろうか。

 読書と言えば、3日前の朝日「時代の栞」という1/2頁を上回る読書欄に元陸軍報道班員だった高木俊朗著「陸軍特別攻撃隊」が紹介された。澤地久枝さんが戦争を知らない若い人が考えるきっかけになればと勧めているが、偶然私も読売新聞の従軍記者だった鈴木英治さんから、一緒にビルマへ行った時に鈴木さんがよく知る高木さんのこの本を勧められ一気に読んだことがある。読後に随分身につまされた書だった。特に北海道出身の佐々木友次陸軍伍長が陸軍特攻隊員としてフィリピンから9度も出撃しながら、目的を果たせず、その都度生還して部隊に居ずらくなったことである。今度こそ死んでこいと命を受けたが、またもや帰還して故郷の両親も近所の手前今度こそ名誉の戦死をして英雄になって欲しいと頼まれたという一節には残酷だとつくづく思った。ある意味では中々の反戦小説と言えるかも知れない。

2020年1月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com