4639.2020年1月24日(金) ミヤンマーに対する国際世論の捏造

 先日ミヤンマーのアウンサンスーチー国家顧問が、国際司法裁判所(ICJ)の国際裁判に出席し、ミヤンマーの立場を説明した。ところが、ロヒンギャ・ジェノサイド(集団殺害)について、昨日ICJは、ミヤンマー政府がロヒンギャのジェノサイドにつながる迫害行為を防ぐ措置を取るよう緊急的な命令を下した。そしてグテーレス国連総長までがそれを追認した。今回の結論は、イスラム協力機構を代表してガンビアが、ロヒンギャ迫害はミヤンマー政府によるジェノサイドとして提訴した裁判に基づくものである。ガンビアはどこまでこのような悲劇が起きたか真相を知っていたのか、あまりにも加害者と被害者が受けた心の傷を知らない。また、どこまでこのロヒンギャ難民の真実と実態を調査したのか分からない。

 もともと当時のビルマ(現ミヤンマー)を植民地として支配していた宗主国イギリスが、戦前旧インド領にいたロヒンギャ民族をビルマ領アラカン州(現ミヤンマー・ラカイン州)の山中へ強制的に移住させたことが問題の発端である。そのイギリスに何らの責任と救済のための対策を要求することなく、国連を始め国際司法裁判所まで植民地支配で甘い汁を吸ったイギリスの責任も問うことなく、貧しいミヤンマーに責任を被せるのは紳士の国イギリスにとって恥ずべきことである。

 この原因を深く調査することなくそのまま放置してイギリスの責任を問わないのはおかしい。だが、それを世界のメディアが追及せず加担しているのは、メディアの責任放棄であるし、ジャーナリストとしての責務を果たしていない。メディアの鼎の軽重が問われている。

 私はこれまでミヤンマーを何度も訪れ、そのラカイン州をも訪れ現地の実態についてもミヤンマー人から話を聞いたことがある。イギリスが戦前から戦後に至っても支配国を痛めつけていることを承知している。それにしても国連以下多くの国がイギリスに忖度している。彼らがミヤンマーを悪者扱いしているのは、あまりにも公平感を欠くのではないかと考えている。

 戦時中イギリスの占領下において散々痛めつけられ、今また彼らが冒したロヒンギャ強制移住の責任を植民地下にあったミヤンマーが、その責任を取らされることは許しがたいことで絶対あってはならないことである。

 政治家はそれぞれ利得勘定で交渉しつつ動いているのは許せないことであるが、何となく分かる。しかし、メディアというか、ジャーナリストこそは公平に真実と正義を伝えるべきではないか。それが行動をせず、イギリスの悪事に知らん顔して見逃しているのは一体どういうことだろうか。ジャーナリストとして責任放棄である。

 実は、今年上梓しようと現在ドキュメント「八十爺の言いたい放題」(仮題)を執筆中であるが、このイギリスの狡猾さとメディアが真実を追求しない正義感の欠如について批判的に取り上げている。世界には、正義とか、民主的という言葉がもはや機能しなくなってしまった。実に悲しいことである。

2020年1月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com