4638.2020年1月23日(木) 新型コロナウィルスが中国で猛威

「背水の陣」の言葉を生んだ赤壁の古戦場で知られる中国の武漢でウィルス感染者が出て、新型コロナウィルスが猛威を振るい始めた。すでに17人が死亡した。先日武漢から帰った日本に居住している中国人が感染したと言われたが、今日武漢市に住む日本人が発症したと発表された。

 今回の感染騒ぎに対して、当初中国当局の反応は鈍かった。実際より少なめに報告しているとして、海外、特にイギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドン研究所(ICL)では中国が発表した数字より多くの発症者数を公表した。中国は、今日現在で570人の発症者がいるとしているが、ICLでは18日までの推計で約4千人と発表している。自国の衛生状態が良くないと非難される国辱的評判を恐れたのか、中国政府は実態を明らかにしていない。これが海外から一層厳しい眼差しで見られることになる。

  今日武漢市は、市外へ出ることと市内へ入ることを禁じる「移動禁止」を発表した。これにより国内交通の要衝の地でもある武漢市は、鉄道、道路、フェリー、地下鉄網などが封鎖され孤立することになった。武漢空港も閉鎖され、日本との直行便も運休となった。

 偶々中国は明後25日から30日まで恒例の「春節」に入り、通常だと国内で30億人が移動する。この旅行シーズンに市外へ一歩も出られなくなった武漢市民こそ好い面の皮である。武漢市の衛生対策と対応に抜かりがあったと考えざるを得ない。まだ感染は拡大傾向にあり当分終息の様子は見えない。市当局もこれほど国際的に知られてしまった以上感染者の新たな発生を抑え、現在の感染者の回復へ向けた努力が欠かせない。

 中国の肺炎感染には、好ましからざる前科がある。2003年に大流行したSARSで、当時世界の主要都市で拡散するまでひた隠しにしたとして世界中から非難された。その時SARS感染は30カ国近くに広がり、774人が死亡した。今回遅まきながら習近平・国家主席も情報隠しや、中国のデータ、発表のタイミングが疑問視されていることに強い懸念と決意を表明したが、情報開示にはいつも後ろ向きの中国らしい。

 安倍首相も今日の衆議院党首討論で日本政府も中国の「感染症危険情報」を出して、最も低い警戒「レベル1」を出したと語った。更に、武漢市に限っては「レベル2」へ引き上げ、不要不急の渡航を止めるよう求めるとも話した。

 世界保健機構(WHO)は、中国からの情報が少なく現時点では対策が打ち出せないでいる。今夜改めて会合を持ちWHOとしての考えと方針を打ち出すという。中国政府の初期作動が遅れたことが事態を拡大させたと言えよう。

2020年1月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com